古代ローマは宗教に寛大で、諸民族の宗教に介入しませんでした。ローマが帝政に移行した2000年前ぐらいから、支配下の全民族に皇帝を崇拝するように強制しましたが、これは特定の宗教を強制したということではなく、ローマの支配下にあるということをこういう形で認めさせようとしただけでした。従って皇帝の像さえ拝めば、あとは好きな宗教を勝手に拝ませました。
ローマに従属していた諸民族からすれば、宗教でうるさいことを言わないので、ローマが強大で自分たちの安全を保障し便利な社会インフラを提供してくれる間は、ローマに反抗する理由がありませんでした。これが、古代ローマが長続きした理由です。
紀元前202年にローマはカルタゴの名将ハンニバルを打ち破って、地中海世界の覇権を確立しました。それ以後もローマは拡大を続け版図が最大になったのは紀元117年です。従って覇権を握ってから320年のあいだ成長を続けました。その後現状維持期及び衰退期に入り、360年後の476年に西ローマ帝国は滅びました。
一方のアメリカが、列強のトップに躍り出たのは、第一次世界大戦で勝った1918年です。それから100年後の現在、アメリカは現状維持期に入っています。実にアメリカの老化は、ローマよりも3倍のスピードで進行しています。それはアメリカが自分独自のプロテスタントの信仰を諸民族に押し付けているために各地で紛争を起こしては対応に追われ、エネルギーを浪費しているからです。
アメリカが反省して、そのプロテスタントの信仰を諸民族に押し付けるのを止めることは、不可能です。アメリカは植民地開拓の最初からプロテスタントでやってきたので、その考え方で社会の骨格が固まってしまい、今さら変更ができないからです。
そもそもキリスト教は、キリスト教徒が正しく、異教徒は野蛮人だと考える宗教であり、その中でもプロテスタントは特にその傾向が激しいのです。従って、プロテスタントが自分たちの考えを押し付けるのは、いわば本能なのです。
プロテスタントの信仰は、かつてはアメリカの強みでしたが、次第に弱点に変わりつつあるようです。アメリカは、プロテスタントの信仰によって興り、プロテスタントの信仰によって衰退する運命にあるのではないでしょうか。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる