戦後のアメリカでユダヤ系の政治勢力が非常に増大したのには、3つの原因があります。
1、ユダヤ・ロビー
2、ユダヤ・マネー
3、ユダヤ系とキリスト教福音派との同盟
1と2については昨日説明しましたが、どちらもその力は限定的で、決定的に重要なのは3のユダヤ系とキリスト教福音派との同盟関係です。キリスト教福音派といっても、多くの日本人はピンとこないと思います。
キリスト教福音派は、「原理主義派」とか「キリスト教右派」とかいろいろに呼ばれています。「福音」とは「イエス・キリストの教え」という意味ですから、キリスト教の全ての宗派は「福音派」のはずです。しかしアメリカでは、「聖書に書かれていることは全て事実だ」と信じ込んでいる宗派のことを指します。メンバーは主として白人のプロテスタントです。トランプ大統領もこのメンバーだと一般には考えられています(トランプさんの娘婿はバリバリのユダヤ教徒です)。
皆さんも、「アメリカには、進化論を学校で教えることを条例で禁止している地方自治体がたくさんある」ということを聞いたことがあると思います。旧約聖書の「創世記」には、「神が世界を作り動物や人間を作った」と書かれています。神は最初から人間を作ったのであって、サルから進化したわけではない、というのが聖書の立場です。
キリスト教福音派が、「人間がサルから進化したなどと言う誤った説を教えて子供たちを堕落させてはならない」と議会に強力に圧力をかけているのです。
この福音派が1970年代から、あれよあれよという間に急激に勢力を拡大しています。アメリカの総人口は約3億人ですが、キリスト教福音派の信者が今では7000万人ぐらいいるようです。カトリック教徒7000万人と並ぶ最大の宗教勢力なのです。
大多数の日本人はキリスト教の知識もないし関心もないので、現在のアメリカに深い関心を寄せている人以外は、福音派がアメリカで急激に勢力を増やしているという最近の社会現象のことなど知らないと思います。
キリスト教福音派は非常に活発に政治活動を行っているので、アメリカの世論を引っ張って行っています。そしてこれがここ数十年の間にユダヤ系と同盟関係を作ったということです。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる