1789年にフランスは三部会という国会を開催しましたが、その時に議員の一部が勝手に集まって「国民議会」なるものを作りました。この「国民議会」は違法だったので、ルイ16世は解散命令を出しました。しかし議員たちは従わず、勝手に「フランス憲法」を作ってしまいました。さらに彼らはルイ16世を死刑にしてしまいました。
ところが今では、このフランス憲法は正式なものだと誰もが認めています(テニスコートの誓い)。違法に作成された憲法が、いつの間にか合法になってしまったのです。
フランス革命の時の「国民議会」や明治維新の時の薩長討幕勢力などの新しい勢力が従来の権力を実力で打倒した時、国民は「世の中は変わった。新しいお上ができたのだ」と腹の底から納得します。
この時に非合法だった権力が合法になり、新しい憲法が作られるのです(違法を適法に変える力、大日本帝国憲法はちゃんと成立している)。
「国民が腹の底から新しい憲法体制を納得したか、などというあいまいな基準で憲法が成立したかどうかを判断できるのか」という疑問をお持ちになるかもしれません。しかし、新しい憲法体制ができる背景は時代や民族によって様々で、客観的な基準など作れません。「国民が腹の底から新しい憲法体制を納得したか」、ということでしか判断できないのです。
「そんな新しい憲法体制など、私は認めない」という人もたくさんいました。しかしそういう人たちは、新興勢力と戦って消えていったのです。
「日本国民は腹の底から日本国憲法を納得したのか」という基準で、この憲法を見てみましょう。ご存じのように日本国憲法はアメリカの占領軍が勝手に作った憲法です。日本人は誰一人として、決死の思いでこの憲法を作っていません。この憲法は軍隊を禁止していますが、日本人はこれを無視して自衛隊というれっきとした軍隊を持っています。
どう考えても日本人はこの憲法に納得していません。従って日本国憲法は成立していません(日本人は、日本国憲法に納得したのか?)。今の憲法学者は誰一人として、まともにこの疑問に答えていません(ポツダム宣言が日本国憲法を作った?)。
内容的に見ても、日本国憲法は第9条以外にも問題があります(基本的人権を日本人はどう理解しているか、幸福追求権)。
今の日本には紙に書いた成文憲法典はありませんが、日本には憲法が全く存在しないということではありません。そもそも憲法は紙に書かれたものだけではありません。イギリスの憲法は紙に書かれていませんが、立派に存在しています。
日本人が腹の中にずっしりと納まっている考え方が、今の日本の憲法です。その内容は、1)天皇陛下は日本の元首である 2)日本は軍備を持たなくてはならない 3)国会・政府・裁判所という三権分立の制度をもたなければならない、などです(実質的な日本憲法)。
われわれ日本人はこれから議論を深めてちゃんとした成文憲法典を作っていかなければなりません。
いま憲法改正運動が起きています。これは日本国憲法はすでに成立しているという前提に立ったうえで、その内容を改正していこうとするものです。この運動は、実際には私の考えとそう大きく矛盾はしていません。従って憲法改正運動が正しいと思われている方は、大いに推進してください(憲法改正運動)。
コメント
第13条もへん。すべて国民はだから外国人には人権はないのかあるのかわからなくなる。
ブラジル憲法第5条には、在留者も国民もすべて基本的人権はあると明記されてる。