「大日本帝国憲法」は消滅し、「日本国憲法」は成立していません。従って今の日本には成文憲法典はありません。
昭和27年(1952年)に日本が独立を回復した時、「日本国憲法は成立していないのだから、無効宣言をすべきだ」という意見が多く出ました。しかし当時の首相だった吉田茂は、その決断ができませんでした。
日本国憲法は成立していないのだから、日本を良くするためにみんなが議論し正しい結論を出せばよいのに、ありもしない憲法の条文に邪魔されてまともな議論ができないという、大きな問題がそのために生じてしまいました。
成文憲法典はありませんが、多くの日本人が正しいと確信している考え方が紙に書かれていない状態で存在しています。これが今の日本の憲法です。憲法は紙に書かれている憲法典だけではないのです。多くの日本人が確信していて、実質的な憲法の内容になっていることを以下に列挙してみます。
1、多くの日本人は、「天皇陛下は日本の元首だ」と考えています。日本の国民が天皇陛下を元首として扱っているので、それを見た諸外国も、天皇陛下が自国を訪問された時は、日本の元首としてお迎えしています。
また、天皇陛下は「象徴」などという意味不明の存在ではなく、神様に日本の繁栄を願って祈るのがお役目であり、国民もそのように理解しています。
2、多くの日本人は、三権分立の制度を正しいものだと考えています。国会、政府、裁判所の三権が互いに独立して日本を統治するという仕組みは、大日本帝国憲法制定以来130年近く続いているために、今の日本人もこの制度を信頼しています。
3、多くの日本人は、国会を正しいものだと考えており、これを否定する人はほとんどいません。国会議員は「実質的な憲法」に基づいて選出されたので、自分たちの地位が正当なものだと自信を持つべきです。そして「日本国憲法など成立していない」と、国政の場で勇気を出して発言すべきだと私は考えます。
4、「実質的な憲法」には、「日本は軍隊を持ってはならない」などという考え方はありません。日本が独立を回復してから60年以上もの間、多くの国民が自衛隊の存在を認めているからです。最近、安部首相は憲法第9条に自衛隊の存在を認める条項を追加しようと考えています。これは国民の考えていることを素直に評価しようとするものです。
「実質的な憲法」では、基本的人権がどのようになっているかは、次回に書きます。