歴史学者のルトワック博士が書いた『自滅する中国』を読みました。
『孫子の兵法』やクラウゼビッツの『戦争論』など戦略を説く本の多くは、戦争と外交を一体のものだと考えています。この考え方は国を滅ぼす、とルトワック博士は考えています。
『戦争論』を書いたクラウゼビッツの母国ドイツは、この考え方で第一次世界大戦の原因を作り、負けました。支那は『孫子の兵法』を信奉したために、2000年間の歴史の2/3は、異民族に征服されていました。
『孫子の兵法』は、軍隊で敵国を威嚇して、相手から外交上の譲歩を勝ち取ろうという考え方です。こういう考え方は、孫子の兵法を知っている支那人どうしの間では有効ですが、全く異なった発想を持つ民族には通用しません。
支那が軍隊で隣国を威嚇したら、異文化の隣国は「本当に支那は攻めてくる」と恐れ、軍事力を強化したり軍事同盟を結んだりして、対抗処置を実施します。「外交上の譲歩を得よう」などという目的は達成されず、敵を強力にしてしまい、結果的に自国が包囲されてしまいます。
尖閣列島や南シナ海の騒動でも、支那は隣国の譲歩を勝ち取ろうとして公船を尖閣諸島の周辺に徘徊させたり、サンゴ礁に飛行場などを作り始めました。しかし、その結果は周辺諸国の軍事力を強化させたり、支那に対抗する諸国の同盟を強化させただけでした。
この本は、現実の世界を今まで思いつかなかった視点で分析していて、なかなか面白いですよ。