植民地時代初期のアメリカでは、地方自治体と教会が一体になっていました。もともと同じ宗派の熱心な信者が集団でアメリカに移住し植民地を作ったので、何事も教会中心で、教会の世話人たちが植民地議会の議員になったり、行政をする役人になったりしていました。
教会は住民たちが正しい信仰を持っているかどうかを厳しくチェックしていて、いい加減な者には正規の教会員籍を与えませんでした。正規の教会員になれなければ、植民地の運営にも参加できず、市民生活でも半人前の扱いしか受けられませんでした。
社会的に活躍したいのであれば、心からの悔い改めをして、教会から立派な信仰を持っていると認定され、堅信礼を受けて正式な教会員になる必要があったのです。堅信礼を受けたいという気持ちの背景には、個人的な劣等感の克服ということ以外に、現実社会を生きていく時の問題もありました。
第一次の大覚醒運動が始まった1730年代当時のアメリカ北部には、堅信礼を受けていない者が過半数に上り、「心からの悔い改めをしたい、回心したい」「悔い改めを認められて正式な教会員になりたい」という願いが充満していました。
そういう時に、大覚醒が起きたのです。礼拝中に信者が大声で叫び出しはじめました。ある信者は椅子から転げ落ちるようにして説教者の所にやってきて、「救われるためには自分は何をしたら良いのか」と尋ね続けました。中にはけいれんを起こしたり、恍惚状態になって動かなくなったりした者も出てきました。要するに集団ヒステリーが起きたのです。
こういう現象が、伝染病のように一つの町から隣の町に次々に広がって行きました。そして「隣の町の礼拝では、多くの半途契約の者が悔い改めを行い、正規の教会員に加えられたぞ」などという噂が飛び交いました。このようにして、その地域全体が騒然としてきたのです。
この大覚醒運動のきっかけを作ったのが、ジョナサン・エドワーズという牧師です。彼は「怒れる神の手の内にある罪人」という説教をしている時に、集団ヒステリーが発生しました。彼のこの説教は、アメリカで今でも有名だそうです。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる