中近東では、ユダヤ教のイスラエルと周辺のイスラム教国家群が激しく対立しています。そうした対立の構図の中で、アメリカは一貫してイスラエルを支持していて、これはどう考えてもえこひいきです。
最近もトランプ大統領が、テルアビブにあったアメリカ大使館をエルサレムに移転することに決め、さらにエルサレムに行って嘆きの壁で祈りを捧げ、イスラエルの機嫌を取ってイスラム諸国の反感を買いました。エルサレムはユダヤ教の聖地であるだけでなく、キリスト教とイスラム教の聖地でもあるために、多くの国はエルサレムを一つの国が独占すべきでない、と考えています。ところがイスラエルが強引にエルサレムを首都だと宣言し、トランプ大統領がその主張を認めたわけです。
アメリカは移民によって出来た国なのでユダヤ移民を受け入れてきましたが、キリスト教国なので本来ユダヤ教徒に好意的ではありません。それは、キリスト教があがめるイエス・キリストをユダヤ教が認めず、彼をインチキ宗教の教祖だとして死刑にしたからです。
第二次世界大戦当時、ナチスの迫害を逃れて移住しようとしたユダヤ人をイギリスやスイスなどの西欧諸国は国境で追い払いました。そこでドイツに引き返したユダヤ人は、ガス室で殺されてしまいました。西欧のキリスト教国はユダヤ人を嫌っていたわけです。
アメリカもユダヤ人難民を追い払いました。アメリカのキリスト教徒がユダヤ人を嫌っていた上に、イスラム諸国の反感を買えば、第二次世界大戦で有利に戦いを進めることが難しくなるからです。アメリカがユダヤ人をえこひいきするようになったのは、戦後のことなのです。
なぜ戦後になってこのようなことになったのか、私は不思議でなりませんでした。そこでいろいろと調べた結果、「アメリカは熱烈なキリスト教国だから、イスラエルを支持するようになったのだ」という逆説的な結論が出てきました。
また、「アメリカは経済的利益だけを国益と考える国ではない。政治的な動機を非常に重視する国である。もっと言えばキリスト教の考え方を国益の基礎に置く国だ」ということを私は再認識しました。
アメリカを観察する場合に、キリスト教の視点を外しては意味がありません。今からこれをテーマにして書きます。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる