アメリカの大覚醒運動によって、ダメな人間がキリスト教の信仰によって立ち直る、という多くのサクセスストーリーが生まれました。正しい信仰を持たなければ教会の正式な会員になれず、自分の子供に満足に洗礼を受けさせることもできません。また、正式な教会員でないと社会でも一人前扱いされませんでした。
そういうダメ人間でも、悔い改めれば魂が救われるだけではなく、この世の成功も得られます。アメリカ人にとって、宗教とは困難に打ち勝ってこの世における成功をもたらす手段であり、有用な自己啓発の道具です。
確かにプロテスタントにはそういう要素があり、正しい信仰を持てば社会的にも成功し金儲けもできると考えています。しかし、もともとのプロテスタントの信仰は、イエスを信じる事によって正しい心の持ち主になるということのほうに主眼があり、社会的な成功はそれに付随するものでした。
ところがアメリカの大覚醒運動では、時代が後になるにつれて主目的と副次的な効果が逆転してきています。一昨日、テキサス州ヒューストンにあるレイクウッド教会を紹介しました。これはアメリカ最大のメガ・チャーチなのですが、その牧師であるジョエル・オスティーンは、インタビューに次のように答えています。なお彼は、大学を卒業していません。
「自分はキリスト教の伝道師というより“人生のコーチ”だ。職業上のカテゴリーとしては伝道師と呼ばれても構わないが、自分のしていることは、キリスト教の信仰を土台として、人々に幸せで豊かで前向きな人生を歩んでもらうために助言することだ。」
これはもう、精神分析を通じて行うコンサルティングで、キリスト教というよりは自己啓発産業です。アメリカは今でも非常にキリスト教の勢力が強いですが、その内情は次第に空洞化しているのではないか、という疑問まで湧いてきます。
大覚醒を担った巡回説教師は、集まった信者の献金によって生活していました。従って人々の求める内容を話さなければ、生活が成り立ちません。この巡回説教師の系譜から今のメガ・チャーチが生まれてきました。アメリカのキリスト教の伝道は、かなりビジネス化が進んでいるようです。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる