「アメリカにやってきた移民は本国で食い詰めた貧乏人だった」という評価は、少なくとも初期の移民に関しては正しくありません。新たにアメリカで植民地を作るには、イギリス国王の特許状を得る必要がありました。
特許状は株式会社設立許可書です。有名な東インド会社はイギリスがインドを統治するための組織で、軍隊を持ち徴税権もありました。しかし、法的には株式会社なのです。つまり資本家が出資して企業を創設し、その企業がインドの統治を請け負っていたのです。
アメリカの植民地も同じことで、資本家が出資して株式会社を設立し、植民地という名の地方自治体の統治を請け負っていました。従って移住者の中の指導層には、もともとイギリスの地主などの富裕層が多くいました。
彼らは財産を持っていたので、イギリスに残っても食うに困ることはありませんでした。しかし王様が英国国教会の信仰を強制するので、それに嫌気がさして英国国教会の組織など存在しないアメリカに逃げ出したのです。
例えば、メイフラワー号に乗ってやってきた移住者(彼らはピルグリム・ファーザースと呼ばれています)は、移住してきた直後の食うだけで精一杯の時に、ハーバード神学校を設立しています。このような発想は、貧乏人のものではありません。
プロテスタントの信仰を守るために彼らはアメリカに移住してきたので、まっさきに作ったのは教会でした。そして指導者たちは、植民地の経営者になると同時に教会の幹部になりました。植民地の経営と教会の運営が一体となっていて、分離していなかったのです。
彼らは、まじめに教会に来ない者や異なる宗派の信者を植民地から追放しました。さらに怪しげな者たちを魔女裁判にかけました。1692年にマサチューセッツ州セイラム村で魔女裁判が行われ、19人が死刑、1人が拷問死、2人の乳児が獄死しています。
少なくとも初期の移民は、食うためではなく自分の信仰を守るためにアメリカにやってきました。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる