1960年代のアメリカでは、ベトナム戦争が原因でキリスト教の道徳に対する反発が激しくなりました。それに対するキリスト教側からの巻き返しが第四次の大覚醒運動です。この運動が盛り上がった背景には、テレビの普及がありました。教会での説教をテレビで見ることによって、多くの人が自宅で気軽に牧師の説教を聞けるようになったのです。
テレビに出ることで、その教会の知名度が高まって信者が多く集まってきたために、教会の規模が大きくなりました。メガ・チャーチの誕生です。実はメガ・チャーチが生まれた原因には、もう一つ都市構造の変化があります。
この時代、車社会がさらに進化したため、白人の中間層は郊外に移住し、黒人や低所得者層が都市の中心部に取り残されました。メガ・チャーチは白人中間層を狙って郊外に教会を建てたのです。土地が安いので広大な敷地を購入するのにも好都合でした。
郊外の住宅地に新しく引っ越してきた家族はみな、同じような階層に属しています。新しく引っ越してきたために知り合いがいなくて寂しい思いをしていた彼らは、メガ・チャーチに行って友達を作ることができました。
教会に通う信者と言えば熟年夫婦というのが定番でしたが、新しい出会いがあるというので未婚やバツイチの若い男女がやってくるようになりました。教会も彼らのためのパーティーなどを催しています。そんなこんなで、ますますメガ・チャーチに行く人が増えてきたのです。一度の礼拝に2000人以上が参加するプロテスタントの教会をメガ・チャーチというのですが、全米では700万人~800万人がメガ・チャーチに通うまでになっています。
従来型の教会は、日曜日の礼拝参加者がせいぜい100人~200人です。牧師は日曜日に説教をするほかに、幹部たちと会議をし、寄付金集めに走り回り、病人を見舞い、婦人会や青年会を主催し、結婚式や葬式を執り行い、教会員の相談に乗り、教会から遠ざかっている信者の様子を見に行く、などと結構忙しく、教会員が200人を超えると手が回らなくなります。
メガ・チャーチは通常の教会より規模が20倍以上あり、大勢のスタッフを雇っています。そしてそのマンパワーで、様々なことができるのです。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる