アメリカ人は外国をキリスト教の視点から見る

19世紀の西欧列強の行動は、分かりやすいものでした。アジア諸国を植民地にして経済的な収奪をしたいという目的を持っていたからです。それと同時にキリスト教徒でないアジア人をキリスト教徒にしなければならないという使命感もありました。

ところがアメリカは広大な国土を持ち資源も豊かなので、植民地を持ってそこから経済的な収奪を行おうという気はあまりありませんでした。アメリカ製の商品を売りつける市場にしようという意図は多少ありましたが。

アメリカは外国を経済的な価値という視点で見るよりは、キリスト教の視点で見ます。支那がその典型で、百年以上前から支那をキリスト教化しようと努力してきました。つい最近まで「支那は経済的に豊かになったら、自由な社会になるだろう」という誤解から、支那を大いに優遇していました。貿易で大赤字になっても、アメリカの技術が盗まれても、たまに文句を言うだけで寛大な態度をとってきました。

アメリカ人にとって、自由と民主主義はキリスト教と表裏一体のものです。「支那の社会を自由にしよう」というのは、「支那の社会をキリスト教にしよう」というのと同じことです。「支那にはやがてはキリスト教が広がる」という誤解をアメリカ人に植え付けたのは、アメリカ人の宣教師たちでした。

アメリカ人の誤解を強めたのが、パールバックの『大地』でした。支那で宣教活動をしていた牧師の娘がパールバックで、彼女自身支那で育ちました。1931年に書かれた『大地』がアメリカで大評判になり、ノーベル文学賞を受賞しました。

この小説の中で描かれている支那は非常に悲惨で(実際にもそうですが)、これを読んだアメリカ人は、「支那をキリスト教化しよう」と考えたのです。当時の支那人とアメリカ人宣教師が実際にはどんな関係だったのか、ラルフ・タウンゼントが『暗黒大陸 中国の真実』が書いています。私のブログでも2018年7月9日から何日間か紹介しています。

支那人のほうも、アメリカ人の誤解が解けないように努力しました。蒋介石は、キリスト教徒で英語ぺらぺらの財閥の娘である宋美齢を後妻にし、彼自身がキリスト教に改宗しました。支那の「大統領」がキリスト教徒になったので、アメリカ人は大いに支那びいきになりました。

以下はひと続きのシリーズです。

1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった

1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した

1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている

1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した

1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か

1月17日 ヤハウェの神は、自分のやりたいようにやる

1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた

1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている

1月20日 ユダヤ人を優遇すると国が栄える

1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った

1月22日 欧米のユダヤ人が、ロシア帝国を潰した

1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた

1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた

1月25日 ユダヤ人はなぜ嫌われるのか

1月26日 第二次大戦中に、欧米はみんなでユダヤ人を殺した

1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる

1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした

1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した

1月30日 ユダヤ人はなぜ優秀なのか

1月31日 聖書は予言書である

2月1日 イスラエル国家が再建されるという予言が、実現した

2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している

2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している

2月4日 アメリカは西欧より、キリスト教の力が強い

2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した

2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した

2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった

2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い

2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた

2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった

2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した

2月12日 大覚醒運動の担い手は、素人の巡回説教師だった

2月13日 マスメディアの発達も大覚醒運動の要因だった

2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している

2月15日 福音派とはへそ曲がりのことである

2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある

2月17日 アメリカ映画がつまらなくなった

2月18日 メガ・チャーチに通う信者がどんどん増えている

2月19日 プロテスタントは、もともと福音派のはず

2月20日 福音派はイスラエルを支援している

2月21日 キリスト教シオニズムは、あいまいな運動

2月22日 アメリカは、はた迷惑な国

2月23日 アメリカ人は外国をキリスト教の視点から見る

2月24日 ローマとアメリカは、宗教に対する態度が違う

2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる

2月26日 誠の考え方を活用して、日本は自立しよう

2月27日 アメリカは、資金と軍事技術を援助してイスラエルを支えている

2月28日 ユダヤ人が、ユダヤ人らしくなくなる?