宣教師のせいで、アメリカ人は支那人を誤解した

『暗黒大陸 中国の真実』という本を読みました。著者のラルフ・タウンゼント(1900~1975)は、アメリカの外交官で、1931年から2年間上海の副領事でした。この時期の支那や満州は騒然としていて、1931年に満州事変が起き、翌1932年には上海事変(日本軍と蒋介石系の軍閥との紛争)が起きました。彼は副領事として、まさに現場に居合わせたのです。

彼は、「アメリカ人は支那人のことを全く理解していない」と考えていました。そこで外交官を辞めアメリカに帰ってから、本書を書きました(1933年)。さらにアメリカの対支那政策・対日政策を批判し続けたため、日米開戦後1年間牢獄に入れられました。

最初の出版から64年後の1997年になってこの本の内容が再評価され、復刻版が出版され、2004年にその日本語版が出版されました。

著者は、「アメリカ人が支那人を誤解しているのは、主として宣教師のせいだ」と考えています。当時の支那には、8000人の宣教師がいて、彼らがアメリカ本国に本当のことを報告しなかったのです。

アメリカのキリスト教宣教師は、アメリカ人の中でも選り抜きの優秀な人たちです。最高の教育を受け、頭がよく、宗教的な使命感を持ち、意思堅固なのです。例えば皆さんが良く知っているタレントのケント・ギルバートさんのような人たちが、宣教師だったのだ、というように思ってください。

ケントさんは大学生の時にモルモン教というキリスト教の一派の宣教師として来日しました。その後アメリカに帰って大学院を卒業し、弁護士となったのちに再来日したのです。

ケントさんの場合は、日本文化を良く理解し、日本を好きになってくれたので日本とアメリカの両方に良い影響を与えているラッキーなケースです。しかし支那に行った8000人の宣教師の多くは、宣教活動がうまくいかず、支那人や支那政府から「恩を仇で返す」ひどい扱いを受けました。普通ならこの段階で支那がすっかり嫌いになり、アメリカに帰るところです。

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