1730年代に入って、アメリカで大覚醒(Great awakening)という強烈なキリスト教再興運動が起きました。牧師の説教を聞いている最中に大勢の信者がいきなり泣き叫びだして自分の罪を告白し、悔い改めを誓うという異様なことが起きたのです。
この現象は瞬く間にアメリカ中に伝播し、数年間続きました。同じような現象は、1800年代、1880年代、そして1960年代にも起きました。これが原因でアメリカは熱烈なキリスト教国家になりました。
第一次大覚醒運動が起きた1730年代のヨーロッパは、従来のキリスト教の在り方に疑問を持つ啓蒙思想が盛んで、キリスト教の勢力が弱くなっていきました。
今に至るまでヨーロッパよりもアメリカのほうが断然キリスト教の影響力が強いのは、片やアメリカでは大覚醒というキリスト教の信仰を強化する運動が起きたのに対し、西欧では啓蒙思想というキリスト教の信仰を軽視する考えが流行った結果です。
大覚醒運動が起きたのはアメリカだけで、西欧社会では起きませんでした。なぜアメリカでだけ大覚醒運動が起きたのか、私は不思議でなりませんでした。いろいろ資料を漁った結果、国際基督教大学の森本あんり教授にたどりつきました。
森本先生は、アメリカのプリンストン大学でも勉強したアメリカキリスト教研究の専門家です。以下の大覚醒の記述は、主として森本先生の『反知性主義』という本に書かれている内容を元ネタにしています。
森本先生は、アメリカで大覚醒運動という異様な現象が起きたのには、内的要因と外的要因の二つの原因がある、と説明されています。内的要因というのは、アメリカ人は「悔い改めたい」と強く望んでいた、ということです。
外的要因は、移民によって人口がどんどん増え続けていて、彼らに宣教するコミュニケーション技術が発達したということです。1730年代の第一次大覚醒の時、アメリカの印刷業が大発展しました。1960年代の第四次大覚醒の時にはテレビが普及しました。
次回から、内部要因と外部要因をもう少し詳しく書いていきます。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる