1960年代の大覚醒運動とその後のインターネットの発達によって、今のアメリカのキリスト教がどうなっているのかを、これから見ていきます。
大覚醒運動は、特定の宗派の教義を深く学んだわけではない、いわば素人のプロテスタント説教者が主な担い手でした。彼らは既存の宗派の牧師と対立し、自分の個人的な信仰体験をむしろ売り物にして説教をしました。
そういう伝統から、アメリカのプロテスタントにはキリスト教の宗派をさほど意識せず、気に入った牧師のいる教会に気軽に移動する傾向があります。1960年代にテレビが普及してきた時、礼拝の様子をテレビで放映する教会が現れました。するとそれまで地元の教会に通っていた信者が、テレビ放映をしている教会に集まってきました。
今では週末に数千人の信者が礼拝にくる巨大な教会が続々と誕生しています。これを一般にはメガ・チャーチと呼んでいます。何万坪もある広い敷地を持ち、コンサートホールかロック会場のように巨大で音響設備が整った礼拝堂があります。さらにはショッピングモールやレストラン、託児所まであります。
巨大な礼拝堂の中心に演説台があり、そこでカリスマ説教師が派手な身振りで説教を行い、大勢の聖歌隊と楽団が、ロックさながらの聖歌を謳います。その様子がテレビやインターネットの動画で世界中に発信されています。もちろん多くの人は説教を聞きに教会に来るのですが、敷地内に様々な楽しい施設があるので、レジャー感覚で来る人も結構います。
テキサス州ヒューストンにあるレイクウッド教会は、最大のメガ・チャーチで、毎週43、000人の信者が世界中から礼拝に集まってきます。もともとはスポーツ・アリーナだった広大な敷地を買い取り、そこに礼拝堂を建設しました。
ウィキペディアでこの教会を調べたら、教派の欄には「非宗派、福音派」と書かれていました。つまりメソジスト派とかルター派などという既存の宗派に属さない単立の教会で、牧師が宗派の教義に捉われないユニークな説教をしているようです。福音派というのは特定の宗派ではなく、聖書に書かれていることはすべて本当のことだ、と信じているという意味です。
以下はひと続きのシリーズです。
1月12日 戦後になって、アメリカはユダヤをえこひいきするようになった
1月13日 戦後、アメリカでユダヤ系の政治勢力が大幅に増大した
1月14日 アメリカのユダヤ人は、ロビー活動と政治資金で政治家を操っている
1月15日 アメリカ最大の政治勢力であるキリスト教福音派が、ユダヤ系と同盟した
1月16日 ユダヤ教とキリスト教の違いは、イエスを救済者と認めるか否か
1月18日 神様は、自分の力を見せつけるためにヨブを痛めつけた
1月19日 ヤハウェの神は、自分が全能であることを全世界に広めようとしている
1月21日 19世紀に多くのユダヤ人がロシアから逃げ出してアメリカに渡った
1月23日 ユダヤ人の社会主義者が、百年前からアメリカにたくさんいた
1月24日 ユダヤ人学者がアメリカの科学技術のレベルを上げた
1月27日 ユダヤ人は、最初は現地の人に歓迎されるがやがて嫌われる
1月28日 ポーランド政府は、ユダヤ系の自国民を見殺しにした
1月29日 第二次大戦後に、ポーランド人はユダヤ人を大虐殺した
2月2日 天変地異や核戦争でものすごい数の人類が死ぬ、と聖書は予言している
2月3日 アメリカは、聖書の予言を実現させるためにイスラエルを支援している
2月5日 イギリス国王は中途半端な宗派を強制し、プロテスタントを弾圧した
2月6日 メイフラワー号でやってきたピューリタンは、無許可で移住した
2月7日 初期には、本気で信仰を守るために移住してきた者も多かった
2月8日 大覚醒運動が起きたために、今でもアメリカではキリスト教が強い
2月9日 18世紀のアメリカでは、ちゃんとした信仰を持っていなければ劣等感にさいなまれた
2月10日 植民地時代のアメリカでは、社会的に活躍するにもちゃんとした信仰を持つ必要があった
2月11日 アメリカの州立教会の牧師は、難しい説教を長時間した
2月14日 巨大な教会(メガ・チャーチ)が続々と誕生している
2月16日 アメリカのキリスト教は、自己啓発産業になりつつある
2月25日 アメリカはプロテスタントの信仰によって老化が進んでいる