「女系天皇」を容認する日本人が多いのには様々な理由がありますが、最大の理由は大乗仏教の考え方で現実社会を考える風潮が増しているからです。
大乗仏教は、人間はみな同じだ、と考えます。肌の色の違いがあるという現実を認めたうえで、「肌の色の違いによる差別をしてはいけない」と考えるのではありません。そうではなく、「もともと肌の色の違いなどなく、そのように見えるのはその人間が欲望を抑えられないために世の中が歪んで見えてしまうからだ」と考えるのです。
現実には白人と黒人は見かけが全く違います。大乗仏教の発想に染まった日本人の眼にもまったく違って見えます。そこで日本人は、「白人と黒人が違うように見えるのは、自分の心の中の欲望を抑えることができず、世の中を歪んで見てしまうためだ」と後ろめたさを感じてしまうのです。
性格や能力の違いなども本当は存在しないというのが、大乗仏教の考え方です。そして男性と女性の違いも本当は無い、と考えるのです。男性と女性の違いは歴然として存在しますが、それを指摘するのが正しくない、という感覚が日本の男女平等論にはあります。
日本の男女平等論には、違うものを同等に扱おうというのではなく、同じものを区別して考えるのがおかしい、という発想が根底にあります。キリスト教は、男性と女性は違う、という事実からスタートしているので、現実感覚を維持することができます。
アメリカのキリスト教の女性信者団体が、男女平等を追加しようという憲法改正案に猛反対したのは、「違うものは違う」という現実感覚を大事にした結果です。
このような大乗仏教の男女平等論を天皇家の継承問題に当てはめたのが、「女系天皇」容認論です。男性と女性の違いなど本来ないのだから、天皇陛下になる資格について違いを設けるのはおかしい、という理屈です。しかし神道は、「女系天皇」では天皇陛下の務めを果たすことができない、と考えています。
アメリカのグローバル主義者が男女平等条項をアメリカの憲法に追加しようとして失敗しました。その残党が「あらゆる種類の性差別の撤廃」を主張し、そのとばっちりが日本に飛んできて「女系天皇」容認論になったわけです。日本人はこのような議論に惑わされてはなりません。
以下はひと続きのシリーズです。
12月21日 アメリカと日本のマスコミは、トランプ大統領の当選を予想できなかった
12月22日 隠れトランプの存在によって、マスコミが選挙予想を外した
12月23日 第二次世界大戦ごろからアメリカのグローバル化が始まった
12月24日 グローバル主義者は、固有の文化や習慣を破壊して均一の世界を作ろうとした
12月26日 アメリカは、また人種差別をするようになるだろう
12月27日 アメリカの支配層が総がかりでトランプの邪魔をした
12月30日 アメリカと日本のグローバル主義は、発想の基が違う
12月31日 アメリカのグローバル主義者は、人種・宗教差別は目的に反する、と考えている
1月5日 日本国憲法の男女平等の規定は、アメリカ占領軍が作った
1月8日 イギリスの王位継承法の改正に影響されて、女系天皇容認論が出てきた