アメリカ合衆国憲法に「男女平等」の条項を追加する修正案は、結局成立しませんでした。この男女平等条項に激しい反対運動を展開したのが、意外にも女性キリスト教信者団体でした。
その言い分は、「神は女性に男性とは違う役割を与えた。女性と男性を同じに扱うことは、女性にとって不幸である」というものでした。キリスト教は、神が人間を創った、と考えます。神様はひとりひとりにそれぞれ異なる役割を与え、男と女にも別の役割を与えたのです。このような考え方からすれば、形式的な男女平等は無意味なだけでなく、社会生活の邪魔になるだけです。
男女平等の条項を憲法に追加する案が廃案になったことに諦められないアメリカの男女平等論者は、搦め手からこの問題を蒸し返しています。即ち、男女という両性の平等だけでなく、あらゆる性差別に反対することにしたのです。
1982年に憲法の男女平等条項案が廃案になった後、女性の妊娠中絶を認めろとか、ホモやゲイを認めろなどという声が急に大きくなりました。特に妊娠中絶の問題は、大統領選挙の時の争点にもなっています。要するに、LGBT容認派は男女平等論者の残党なのです。
このように男女平等問題は、1920年代からアメリカで問題になっていました。日本が戦争で負けて日本が占領されていた時にアメリカ占領軍が日本国憲法を作ったのですが、その時にアメリカ軍の素人たちが、第14条(法の下の平等)を規定しました。第1項:「すべての国民は、法の下に平等であって、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
この14条を作ったアメリカ占領軍の素人たちは、「アメリカ憲法にもない先進的な条項だ」と自画自賛しています。
「男女平等の規定がある日本国憲法の方が、アメリカ合衆国憲法より進んでいる」と考えるべきではなく、「アメリカ軍が本国でも否決されたような条項を占領軍の立場を利用して日本に押しつけた」と判断すべきです。「アメリカにもない憲法の条項を日本に押しつけた」という意味では、9条と14条は同じです。
以下はひと続きのシリーズです。
12月21日 アメリカと日本のマスコミは、トランプ大統領の当選を予想できなかった
12月22日 隠れトランプの存在によって、マスコミが選挙予想を外した
12月23日 第二次世界大戦ごろからアメリカのグローバル化が始まった
12月24日 グローバル主義者は、固有の文化や習慣を破壊して均一の世界を作ろうとした
12月26日 アメリカは、また人種差別をするようになるだろう
12月27日 アメリカの支配層が総がかりでトランプの邪魔をした
12月30日 アメリカと日本のグローバル主義は、発想の基が違う
12月31日 アメリカのグローバル主義者は、人種・宗教差別は目的に反する、と考えている
1月5日 日本国憲法の男女平等の規定は、アメリカ占領軍が作った
1月8日 イギリスの王位継承法の改正に影響されて、女系天皇容認論が出てきた