2016年11月のアメリカの大統領選挙の時、多くのアメリカの有権者が本当はトランプ候補に投票したのに、他人には「自分はトランプ候補を支持していない」とウソをついていました。いわゆる「隠れトランプ」現象です。
トランプ大統領は、「アメリカ・ファースト」を唱え自国を優先しています。そしてあまり露骨ではありませんが、人種差別・宗教差別を肯定しています。このような考え方は、第二次世界大戦より前は、アメリカだけでなく世界中で当たり前でした。
しかし第二次世界大戦の時あたりから、このような考え方が否定され出しました。第二次世界大戦にアメリカが参戦しドイツや日本と戦争した本当の理由は、「ドイツや日本など全体主義国家の侵略から自由世界を守る」ということではありません。もしもそうであれば、全体主義国家のソ連とも戦うはずですが、アメリカはソ連と同盟を結びました。
アメリカが第二次世界大戦に参戦した時の大統領はフランクリン・ルーズベルト(在任は1933年3月~1945年4月)です。彼が大統領に就任する4年前に大恐慌が起き、アメリカ経済はガタガタになりました。そこで彼は公共投資を積極的に行ってアメリカ経済を立て直しに成功した、というように評価されています。
しかし実際には彼の政策はうまく進まず、戦争の直前には失業率が14%に悪化し、再び恐慌になりそうでした。そのために彼は戦争をして軍需産業をフル稼働させるという究極の公共事業をやって経済を良くしようとしたのです。
ルーズベルト大統領はアメリカ経済を立て直すために戦争を考えたのですが、国民を説得するためにアメリカ人の重視するFreedomという考え方を利用しました。Freedomはもともと、「イエス・キリストを信じる心正しき者が、仲間を助けるためであれば、既存の法律やルールを破ってもよい」という考え方です。
その考え方を軌道修正し、自由を愛する諸国民の仲間が全体主義から圧迫を受けて苦しんでいるのを助けるためであれば、戦争という人を殺す行為もやむを得ない、という理屈を作り上げました。これがアメリカのグローバル化の始まりです。グローバル主義というのは、Freedomの一つの解釈なのです。
以下はひと続きのシリーズです。
12月21日 アメリカと日本のマスコミは、トランプ大統領の当選を予想できなかった
12月22日 隠れトランプの存在によって、マスコミが選挙予想を外した
12月23日 第二次世界大戦ごろからアメリカのグローバル化が始まった
12月24日 グローバル主義者は、固有の文化や習慣を破壊して均一の世界を作ろうとした
12月26日 アメリカは、また人種差別をするようになるだろう
12月27日 アメリカの支配層が総がかりでトランプの邪魔をした
12月30日 アメリカと日本のグローバル主義は、発想の基が違う
12月31日 アメリカのグローバル主義者は、人種・宗教差別は目的に反する、と考えている
1月5日 日本国憲法の男女平等の規定は、アメリカ占領軍が作った
1月8日 イギリスの王位継承法の改正に影響されて、女系天皇容認論が出てきた