かつては人種差別や宗教差別を盛んにやっていたアメリカが、これらの差別を廃止するようになりました。また、経済的には工場を海外に移転したために製造業が空洞化し、失業者が増えて、社会の格差が増大しました。
そこで、一般のアメリカ人は、今までのグローバル化は自分たちを不幸にするということに気付きました。海外で作られた安い商品がアメリカに入ってきても、失業してしまえばそれさえ買うことができません。
アメリカがグローバル化するのに伴って、Freedomの解釈も変わってきました。かつてのFreedomは、白人のキリスト教徒だけが正しい心を持っていると主張していました。しかしグローバル化を支えるFreedomの解釈は、人種差別と宗教差別に反対をしています。そして黒人の大統領まで登場しました。
アメリカは今でも白人が多数を占めています。白人63%、ヒスパニック17%、有色人種20%で、これだけを見ると白人の優位が危うくなっているように見えます。しかしヒスパニックはスペイン語を日常使っている人のことで、人種的には白人と有色人種の両方がいます。白人のヒスパニックを含めると、アメリカ人の78%は白人なのです。
グローバル化によって経済的に苦しくなった人たちと白人の優越性を否定されて不満を持った人たちが、トランプ大統領を支持しました。トランプ大統領の政策は支持したいが、長年の政府やマスコミの宣伝によってグローバル化したFreedomの解釈が正しいと思い込んでいて、その板挟みで悩んでいる人も多くいました。彼らが「隠れトランプ」になったのです。
トランプ大統領が、グローバル化を否定しアメリカ・ファーストの政策を実施するのに従って、「隠れトランプ」も自信を持って反グローバル政策を支持していくことになるでしょう。グローバル化したFreedomの考え方は、経済のグローバル化と人種・宗教差別反対がワンセットになっています。
従って、経済のグローバル化を否定すると、自然に人種・宗教差別を主張するようになります。今後のアメリカはこの方向に向かっていくものと考えます。
以下はひと続きのシリーズです。
12月21日 アメリカと日本のマスコミは、トランプ大統領の当選を予想できなかった
12月22日 隠れトランプの存在によって、マスコミが選挙予想を外した
12月23日 第二次世界大戦ごろからアメリカのグローバル化が始まった
12月24日 グローバル主義者は、固有の文化や習慣を破壊して均一の世界を作ろうとした
12月26日 アメリカは、また人種差別をするようになるだろう
12月27日 アメリカの支配層が総がかりでトランプの邪魔をした
12月30日 アメリカと日本のグローバル主義は、発想の基が違う
12月31日 アメリカのグローバル主義者は、人種・宗教差別は目的に反する、と考えている
1月5日 日本国憲法の男女平等の規定は、アメリカ占領軍が作った
1月8日 イギリスの王位継承法の改正に影響されて、女系天皇容認論が出てきた