キリスト教は、神がその人間に授けた使命(役割)を果たさなければならないと教えます。神はある人間を国王になるように作り、別の人間を市役所の職員になるように定め、あるいは結婚しても子供ができない者になるように作りました。
神道も、社会や組織の中で自分に与えられた役目を果たすことを重視します。自分の役目を忠実に果たすという考え方が「誠」です。神道とキリスト教は共に、自分に定められた役割を非常に重視します。
「女性には、男性とは違う神から授けられた独自の役割があるはずだ」と考えるわけです。このようなことから、アメリカのキリスト教の女性団体が男女平等の憲法規定に反対したのは、もっともなのです。
日本人が男女平等の問題を考えるときに欧米を引き合いに出すのは、宗教の伝統が違うので無意味です。昔の日本人は神道で現実社会を考えていたので、男女平等の主張はほとんどありませんでした。
最近になって男女平等の主張が大きくなったのは、大乗仏教の考え方が社会の表面に出てきたからです。大乗仏教は、人間はみな同じで男女の区別も本当は存在しないと考えます。そのために、男女平等の考え方をすんなり受け入れるのです。
しかし男女の役割は明らかに違うのだから、抽象的に男女平等を定めたら、社会的にさまざまな問題が起こります。現実社会は現実に即して考えなければなりません。
男女の役割分担は時代によって変化します。昔の戦争は兵士が鉄砲を持って前線で戦っていたので、男性だけがするものだと考えられていました。しかし最近は、事務所で画面を見ながら無人飛行機を操作して敵を攻撃します。従って女性の兵士が現れました。時代時代によって男女の役割の考え方が変わって当然なのです。抽象的な男女平等の規定は、かえって現実を混乱させます。
最近私立の医大で、女性の受験者だけ一律減点して入学者を抑えるという事件がありました。これなども具体的に解決するべき問題で、女性医師が勤務できる体制を作れば良いのです。その場合は、女性医師に有利になって男性医師が「差別されている」と思うようなことになるかもしれませんが、ある程度はそういうことも必要でしょう。
このような対策をとるには、抽象的な男女平等の規定はかえって障害になります。あるいは医師に向かない女性が多いということであれば、○×式の入試ではなく本人の適正が判定できるような選抜方法をとるべきです。
LGBTについても、それで悩んでいる人たちの問題を具体的に解決する方策を探っていくべきであって、「権利云々」ということではないと考えます。
以下はひと続きのシリーズです。
12月21日 アメリカと日本のマスコミは、トランプ大統領の当選を予想できなかった
12月22日 隠れトランプの存在によって、マスコミが選挙予想を外した
12月23日 第二次世界大戦ごろからアメリカのグローバル化が始まった
12月24日 グローバル主義者は、固有の文化や習慣を破壊して均一の世界を作ろうとした
12月26日 アメリカは、また人種差別をするようになるだろう
12月27日 アメリカの支配層が総がかりでトランプの邪魔をした
12月30日 アメリカと日本のグローバル主義は、発想の基が違う
12月31日 アメリカのグローバル主義者は、人種・宗教差別は目的に反する、と考えている
1月5日 日本国憲法の男女平等の規定は、アメリカ占領軍が作った
1月8日 イギリスの王位継承法の改正に影響されて、女系天皇容認論が出てきた