アメリカでトランプ大統領などの自国優先主義者が権力を握り、西欧や日本でもアメリカと連動するような形で、自国中心主義が勢力を増しています。グローバル主義は、アメリカが力で世界中に押しつけた考え方なので、アメリカの影響力が弱まるにつれてグローバル主義に反発する自国中心主義が各国で同時に強くなるのは、当然のことです。
例えば、安倍政権は憲法9条の改正によって日本の安全保障を確保することを主張して登場しました。アメリカの力が相対的に弱くなり日本の周辺が騒がしくなってきたので、アメリカが日本を本当に守る気があるのか日本人が不安になってきました。そこで、多くの日本人が安倍首相の主張に耳を傾けるようになったのです。
アメリカの方でも、従来と同じように世界の警察官を続けることができなくなり、自国中心主義にならざるを得ない事情があります。このように世界中の自国中心主義の高まりは、互いに連動しています。
日本も敗戦後の70年以上グローバル主義が主流になっていました。敗戦後に、グローバル主義をアメリカから押し付けられたのが始まりです。「日本が強力な軍事力を持っていたのはそれによって自国の利益を優先しようとしたことであり、それがけしからん」という考え方が、グローバル主義です。
その後戦災からの復興が軌道に乗り高度成長期を迎えると、日本はアメリカが作ったさまざまなグローバル・スタンダード(貿易のルールや知的財産権保護のルールなど)に積極的に乗っかって、海外から利益を得るようになりました。その過程で、支那に工場が移転したり外国人労働者が入り込んだりして、格差が広がるなどというアメリカと同様の弊害も生まれました。
このように日本も70年以上グローバル主義に支配され続けているので、多くの人はこの状態が当たり前だと思っています。とくに教育やマスコミの世界では、グローバル主義が正しいと信じ込んでいう人が大部分です。
日本のマスコミが「安倍たたき」をするのは、アメリカのマスコミが「トランプたたき」をするのと、全く同じ理由からです。
以下はひと続きのシリーズです。
12月21日 アメリカと日本のマスコミは、トランプ大統領の当選を予想できなかった
12月22日 隠れトランプの存在によって、マスコミが選挙予想を外した
12月23日 第二次世界大戦ごろからアメリカのグローバル化が始まった
12月24日 グローバル主義者は、固有の文化や習慣を破壊して均一の世界を作ろうとした
12月26日 アメリカは、また人種差別をするようになるだろう
12月27日 アメリカの支配層が総がかりでトランプの邪魔をした
12月30日 アメリカと日本のグローバル主義は、発想の基が違う
12月31日 アメリカのグローバル主義者は、人種・宗教差別は目的に反する、と考えている
1月5日 日本国憲法の男女平等の規定は、アメリカ占領軍が作った
1月8日 イギリスの王位継承法の改正に影響されて、女系天皇容認論が出てきた