第一次世界大戦終了前後から昭和初期に起きたことを年表から拾ってみました。
1917年(大正6年) ロシア革命
1918年(大正7年) 第一次世界大戦終結
1923年(大正12年) 関東大震災
1927年(昭和2年) 金融恐慌 南京事件
1929年(昭和4年) ニューヨーク株式大暴落 世界的大恐慌
1930年(昭和5年) 金解禁(金本位制に復帰) → 浜口首相が銃撃され重傷を負う
1931年(昭和6年) 金本位制を廃止 満州事変
1932年(昭和7年) 5・15事件(海軍青年将校などが犬養首相を暗殺)
1936年(昭和11年) 2・26事件(陸軍青年将校たちが、部隊を率いて反乱)
1937年(昭和12年) 支那事変勃発
こうして事件を並べてみると、景気が悪いために世の中が騒然としている暗い時代だったような印象を受けます。ところが経済指標を見てみると全体としては悪くありません。GDPは年ごとに大きく振れ、マイナス成長になった翌年が大幅にプラスになったりしていますが、トレンドとしては増加し続けています。
第一次世界大戦中、戦争をしている西欧諸国に輸出をして非常な好景気になりましたが、終戦後にその反動がきました。しかしこんなことは予想されたことで政府も経済界も備えをしていたので、乗り切ることができました。むしろ問題は、関東大震災後に復興需要が起きてそれがバブルになり、それへの対応がまずくて恐慌になったということのほうです。政府も経済界も、自由主義経済の運営に未熟だったということです。
しかし日本経済のファンダメンタルズは悪くなかったので、一時的に恐慌になってもまた持ち直しました。バブルの後処理がまずかったという意味では、この時代は平成の30年間とよく似ています。
1990年ドル基準の実質GDPを購買力平価で換算 単位:億ドル
・ 日本 ドイツ イギリス ソ連 アメリカ
1929年 1232.5 1759.7 2399.9 2383.9 8443.2
1933年 1371.8 1486.9 2344.1 2648.8 6034.6
1937年 1587.5 2045.5 2807.3 3980.2 8334.5
1941年 2045.2 2582.2 3444.3 N/A 11002.1
以下はひと続きのシリーズです。
4月4日 右翼・左翼という言葉を使うと、現実が分からなくなる
4月16日 アメリカが石油を禁輸したから戦争になった、というのは説明になっていない
4月21日 ソ連の工作機関が、アメリカを戦争に誘導していった
5月5日 金本位制復帰も、日本が社会主義化する大きな要因だった
5月9日 反乱を起こした青年将校は、社会主義者を指導者に仰いでいた
5月21日 日本共産党員も獄中転向し、非マルクス系の社会主義者になった
5月23日 天皇制を認めれば、社会主義を信奉してもOKになった
5月30日 ソ連のスパイの尾崎秀実は、支那事変拡大を煽り立てた
6月13日 憲法が規定する自由主義の原則を、国の役所が否定した
6月18日 軍国主義者や右翼が悪い、というのは説明になっていない
6月23日 昭和初期の日本の経済には、社会主義化するような必然性はなかった
6月27日 日本が社会主義化した大きな原因は、Freedomが輸入品だったこと