私は永年にわたって、「日本はなぜアメリカと戦争をしたのか」を考え続け、「多くの軍人・官僚や民間の活動家が日本を社会主義化しようとして、そのための手段として支那との戦争を続けた結果だ」という結論に至りました。このような結論をかつての私は考えてもいませんでしたが、いまでは納得しています。
社会主義者の多くは愛国者で、決してソ連やアメリカのスパイではありませんでした。そういう者たちが自国を戦争に巻き込もうとしたことが信じられなくて、このような結論になかなか到達できませんでした。しかし今の世の中をよく観察すると、「社会主義者は国を不安定にして自分たちの目的を達成しようとしている」、という事実が見えてきます。
社会主義者とは、社会主義という名称がついた政党に所属しているか否かに関係なく、「何が正しいかは天才が一人で決める」と考えている者たちです。その「天才」というのが、状況によって国家だったり、共産党のような政党だったり、ヒトラーのような天才だったりします。いずれの場合も、凡人どもが集まって多数決で決めてもろくなことはない、と考えています。
多くの人は自分の意見が正しいと思っています。まともな人は自分の意見に反対する者と議論をすることによって相手を説得しようとしますが、相手が納得しなければ、あきらめるか妥協を模索します。
その一方で、議論で相手を説得できなかったら、陰謀や力によって相手を従わせようとする者たちもいます。その中でも、自分の利益を図って相手を無理やりに従わせようとする者は利己主義者であって、社会主義者ではありません。
自分個人の利益を図るというよりも社会を良くしようと思って、陰謀や力によって相手を従わせようとする者もいます。彼らが社会主義者なのです。このような社会主義者は、外見的には熱い心を持った熱血漢である場合が多いです。
問題はこのような者が必ずしも社会を良くするとは限らない、ということです。むしろ世の中を悪くする場合の方が多いです。まさに西欧のことわざにあるように、「地獄への道は、善意で敷き詰められている」のです。
以下はひと続きのシリーズです。
4月4日 右翼・左翼という言葉を使うと、現実が分からなくなる
4月16日 アメリカが石油を禁輸したから戦争になった、というのは説明になっていない
4月21日 ソ連の工作機関が、アメリカを戦争に誘導していった
5月5日 金本位制復帰も、日本が社会主義化する大きな要因だった
5月9日 反乱を起こした青年将校は、社会主義者を指導者に仰いでいた
5月21日 日本共産党員も獄中転向し、非マルクス系の社会主義者になった
5月23日 天皇制を認めれば、社会主義を信奉してもOKになった
5月30日 ソ連のスパイの尾崎秀実は、支那事変拡大を煽り立てた
6月13日 憲法が規定する自由主義の原則を、国の役所が否定した
6月18日 軍国主義者や右翼が悪い、というのは説明になっていない
6月23日 昭和初期の日本の経済には、社会主義化するような必然性はなかった
6月27日 日本が社会主義化した大きな原因は、Freedomが輸入品だったこと