幕末に大アジア主義という誤った発想が生まれ、それに日本人は深く染まっています。新聞やテレビなどのマスコミも商売ですから、しょせんは読者や視聴者が求める内容を記事にします。マスコミが言うことを無批判に受け入れるのは極めて危険です。
読者や視聴者が大アジア主義的な記事を好むので、マスコミもそれに合わせた記事を書きます。例えば、支那や朝鮮でも日本のアニメや村上春樹の小説が流行っているなどということをNHKなどは好んで流します。
それを見た日本人は、「支那人や朝鮮人も日本人と同じような感覚をもっているのだ」と思います。そして「支那人や朝鮮人も日本人と同じ文化を持つ仲間なのだ」という大アジア主義に洗脳されるわけです。その反対に、日本人がギョッとするようなことをほとんど伝えず、報道しても分厚いオブラートに包んでいます。
このようにして、マスコミが日本人に大アジア主義を刷り込み、今度はそれを刷り込まれた日本人が大アジア主義の記事をマスコミに求めます。このようにして相互に影響し合い、最後にはマスコミの報道内容にウソが多くなります。その一方で、このウソに気づく人が増えてきます。今の日本はこの状態に入っています。
私は、このような状況に非常な危機感を覚えています。最近は私と同じような危機感を持つ人が少しずつ増えてきて、本当のことを伝える本や動画が増えています。これは非常に嬉しいことですが、なぜ日本人はそのように考えてしまうのか、という日本人の伝統的な思考法を探っていくことも有益だと思っています。
日本人が大アジア主義に染まってしまったのは、儒教を誤解し、支那や朝鮮で今でも仏教が盛んだと勘違いしてしまったからです。おかげで、まったく文化が違い考えることも違う支那人や朝鮮人を、「自分たちと同じだ」と誤解してしまったのです。
大乗仏教は、「人間はみな同じで、個性の違いなどはない」と考えています。大乗仏教のこの発想が、「支那人と日本人は同じだ」という誤解を増幅しています。ところが支那では大乗仏教は廃れているので、支那人は「自分たちと日本人は同じことを考えている」などと誤解していません。
日本人は、大アジア主義の誤解から早く醒めなければなりません。
以下はひと続きのシリーズです。
4月9日 支那の国有企業が民営化すれば、共産党政権が崩壊し、伝統文化が傷つく
4月11日 支那の伝統を破壊するまでは、アメリカの目的は達せられない
4月12日 アメリカのスーパー301条は、邪悪な者には自由を認めない、という法律
4月15日 支那との付き合いが短い国が、支那の危険性に目覚めている
4月17日 支那の皇帝陛下は、日本の天皇陛下に手紙を出せない
4月18日 江戸時代の日本人は、支那を「聖人の国」だ、と誤解した
4月23日 支那は、自国民も外国人も守ろうとせず、略奪をする
4月26日 大アジア主義は、江戸時代の社会体制を前提として考え出された
5月1日 外務大臣が、英米のFreedomの原則を理解していなかった
5月3日 金解禁によって日本は恐慌になり、国民は政党を信用しなくなった
5月6日 満州事変以後、軍人たちは中央の言うことを聞かなくなった
5月7日 元老、重臣、財閥、官僚、政党政治家は、みんな悪党だ
5月8日 軍人が行ったテロから、日本人は「赤穂浪士の討ち入り」を連想した
5月11日 軍人は、大アジア主義の発想から、支那本土で軍事作戦を行った
5月12日 日本軍が支那本土で軍事作戦をしたために、アメリカとの関係が悪化した