アメリカが支那に対して非常に厳しい態度に出ているのに対し、日本は煮え切らない態度をとっています。
経済界から話をすると、経団連などは今でも一帯一路に積極的に協力する姿勢を示しています。一帯一路は19世紀型の帝国主義政策そのもので、世界中がその実態を悟りつつあります。従ってそのような政策に協力することは、日本の評判を傷つけるだけでなく、自社のブランドイメージを著しく損なう恐れがあります。
支那に工場を作ってもうまく行っていないケースがほとんどです。その良い例が、王子製紙が江蘇省南通市に設立した製紙工場です。2003年に2000億円の投資をしてパルプと製紙の一貫工場を2006年までに建設し、120万トンの製紙を行う計画でした。
ところが地方政府から「現地企業との合弁でなければ建設を許可しない」というイチャモンが入り、公害問題を理由に建設が大幅に遅らされ、投資額を増額させられました。結局、今現在、40万トンの紙と紙おむつなどを作っているだけです。
支那は、外国の先端企業の工場の稼働を遅らせ、その間に無理やり開示させた技術を国内企業に供与して先に事業をさせるのです。支那の企業が競争力を得た段階でやっと、巨額の賄賂を条件に外国企業の工場に稼働を許すわけです。
トヨタやホンダ・ニッサンなどの自動車会社は、巨費を投じて電気自動車の工場を支那に作る計画をすすめています。電気自動車の技術は軍事技術に転用される先端技術の宝庫で、支那がのどから手が出るほどに欲しがっています。
日本の自動車会社としては、支那の巨大市場を当てにしているのかもしれませんが、支那に先端技術を供与するリスクを十分に自覚していないようです。支那に軍事技術に転用されるような技術を供与したら、アメリカに睨まれてアメリカ市場から排除される恐れが十分にあります。
このような裏話を経団連はいくらでも知っているはずです。にもかかわらず支那に積極的な投資をする姿勢を改めていません。どうも様子が変です。経営者たちがハニートラップなどで弱みを握られている可能性があります。もう一つの理由は大アジア主義です。文化を共有する仲間だから互いに助け合わなければならない、と思い込んでいるわけです。
以下はひと続きのシリーズです。
4月9日 支那の国有企業が民営化すれば、共産党政権が崩壊し、伝統文化が傷つく
4月11日 支那の伝統を破壊するまでは、アメリカの目的は達せられない
4月12日 アメリカのスーパー301条は、邪悪な者には自由を認めない、という法律
4月15日 支那との付き合いが短い国が、支那の危険性に目覚めている
4月17日 支那の皇帝陛下は、日本の天皇陛下に手紙を出せない
4月18日 江戸時代の日本人は、支那を「聖人の国」だ、と誤解した
4月23日 支那は、自国民も外国人も守ろうとせず、略奪をする
4月26日 大アジア主義は、江戸時代の社会体制を前提として考え出された
5月1日 外務大臣が、英米のFreedomの原則を理解していなかった
5月3日 金解禁によって日本は恐慌になり、国民は政党を信用しなくなった
5月6日 満州事変以後、軍人たちは中央の言うことを聞かなくなった
5月7日 元老、重臣、財閥、官僚、政党政治家は、みんな悪党だ
5月8日 軍人が行ったテロから、日本人は「赤穂浪士の討ち入り」を連想した
5月11日 軍人は、大アジア主義の発想から、支那本土で軍事作戦を行った
5月12日 日本軍が支那本土で軍事作戦をしたために、アメリカとの関係が悪化した