支那の大きな企業はほとんどが国営企業です。共産主義が表看板の国ですから、多くの企業が国有なのはあたりまえです。電力・鉄鋼・石油・銀行・鉄道など従来型の産業分野では、企業はほとんどが国有企業です。
国有企業はどこの国でもそうですが、経営に緊張感が欠け、経営がうまくいっていません。特に支那では国有企業の幹部は、共産党幹部の利権の温床になっておりひどい経営状態です。それを整理しようとしても、それぞれの企業の幹部が共産党の最高幹部とつながりを持っているので、できません。また赤字企業を整理すれば、膨大な数の失業者が発生して、社会がどうなるかしれたものではありません。
アリババやファーウェイなど最近生まれた巨大企業は、表向きは民間企業ですが、実質は共産党幹部が徹底的に優遇している国営企業です。そうでもなければ、あっという間に売り上げが4兆円の企業になるわけがありません(アリババの創業は1999年、ファーウェイは1987年)。
支那の新興の巨大企業の創業者の多くが自殺(暗殺?)したり亡命したりしています。それまでその企業を庇護してきた共産党の最高幹部が派閥争いに敗れると、ライバルの最高幹部がその企業を潰したり乗っ取ったりするからです。
アリババの創業者のジャック・マーは、それほどの齢でもないのに引退を宣言しました。そして従来は共産党とは無関係なベンチャー企業だということを自慢していましたが、最近になって「自分は共産党員だ」と告白しました。共産党の最高幹部に会社を食い物にされるのにうんざりし、まだ財産が残っている間に経営から手を引いたというのが実態です。
アメリカは今回の一連の支那潰しの一環として、支那政府は企業への不当な優遇策を止め、経営に口を出すことを止めよ、と要求しています。これはWTO加盟国に対して当然の要求です。しかし支那からしたら大変なことです。
国有企業を民営化せよというアメリカの要求は、共産主義の看板を下ろせということです。そして数千万人になるかもしれない失業者が発生し、暴動が多発して共産党政権がどうなるか分からないということでもあります。さらに共産党の幹部が人間関係を通じて企業に口をはさむことを禁止するということは、支那社会の特徴である「人治」の文化までも否定することです。このような要求に、支那人が簡単に応じるはずがありません。
以下はひと続きのシリーズです。
4月9日 支那の国有企業が民営化すれば、共産党政権が崩壊し、伝統文化が傷つく
4月11日 支那の伝統を破壊するまでは、アメリカの目的は達せられない
4月12日 アメリカのスーパー301条は、邪悪な者には自由を認めない、という法律
4月15日 支那との付き合いが短い国が、支那の危険性に目覚めている
4月17日 支那の皇帝陛下は、日本の天皇陛下に手紙を出せない
4月18日 江戸時代の日本人は、支那を「聖人の国」だ、と誤解した
4月23日 支那は、自国民も外国人も守ろうとせず、略奪をする
4月26日 大アジア主義は、江戸時代の社会体制を前提として考え出された
5月1日 外務大臣が、英米のFreedomの原則を理解していなかった
5月3日 金解禁によって日本は恐慌になり、国民は政党を信用しなくなった
5月6日 満州事変以後、軍人たちは中央の言うことを聞かなくなった
5月7日 元老、重臣、財閥、官僚、政党政治家は、みんな悪党だ
5月8日 軍人が行ったテロから、日本人は「赤穂浪士の討ち入り」を連想した
5月11日 軍人は、大アジア主義の発想から、支那本土で軍事作戦を行った
5月12日 日本軍が支那本土で軍事作戦をしたために、アメリカとの関係が悪化した