習近平は、農民の心をつかんだ

陝西省の田舎に下放された習近平は、半年後に母親のもとに逃げ帰りましたが、状況を理解して下放先の村に戻り、詫びを入れて受け入れてもらいました。その後の7年間この地で、農作業をまじめにつとめました。

下放が終わり、習近平が村を離れる際、農民が多数見送りにきて、別れの辛さで互いに涙を流し、名残惜しさで農民がなかなか立ち去らず、旅館に1泊して記念写真まで撮ってようやく別れたというエピソードがあります。

どこまで本当か分かりませんが、偉くなってから下放先の村を再訪して、下放経験がその後の幹部生活の基礎を形づくったと述懐しているし、一緒に下放された仲間の評価もけっこう良いので、あながちウソでもなさそうです。どうやら習近平は、下放時代に農民の心をつかむテクニックを身につけたようです。

習近平と同年代の李克強も下放されましたが、余暇には読書ばかりして農民と親しく交わることはありませんでした。下放が終わり北京大学に入学するために村を離れた李克強を見送る村人はいなかったそうです。

農民の支持を得なければ皇帝にはなれません。毛沢東は、農民に絶大な人気があったから皇帝になれたのです。そこで習近平も、農民の支持を得る努力をしたわけです。

毛沢東の死後、共産党の指導者たちは毛沢東に触れようとしませんでした。彼は農民の人気があったので、露骨に批判することはできなかったのですが、さりとて大躍進に失敗し文化大革命で支那をメチャクチャにした彼を礼賛することもできなかったのです。

ところが習近平は、毛沢東礼賛を始めました。これを、「習近平は、鄧小平以来の経済の開放路線を否定し、経済の共産主義化を推進した毛沢東路線に戻ろうとしている」と見る人が多いです。

確かにそういう要素もあるでしょうが、もっと単純に、「習近平は毛沢東の後継者という資格を得て皇帝になろうとしている」と理解しても良いのではないでしょうか。習近平が今後も権力を維持できるのか、先のことは分かりません。しかし、習近平がアメリカに降参しようとする派閥に引きずりおろされるまでは、皇帝であり続けようとするでしょう。ということは、尖閣諸島は非常に危ないということです。

以下はひと続きのシリーズです。

3月1日 『毛沢東の私生活』を読みました

3月2日 『毛沢東の私生活』の著者は、特異な育ち方をした

3月3日 李志綏は、嫌々ながら毛沢東の主治医を22年間つとめた

3月4日 李志綏はやはり、その出自から思想的に疑われていた

3月5日 毛沢東は、自分の主治医を選ぶのに、他人任せにしなかった

3月6日 毛沢東は人たらしである

3月7日 毛沢東は、相手の弱点を握って服従させた

3月8日 毛沢東が江青を堕落させた

3月9日 晩年の毛沢東は、パラノイアだった

3月10日 毛沢東は、他人の苦しみを見ても平然としていた

3月11日 支那人は人間関係がすべて

3月12日 毛沢東の死は、政治的な大事件だった

3月13日 毛沢東の女たち

3月14日 毛沢東は、支那がまっとうな共産主義国家であることを証明するために、大躍進運動を始めた

3月15日 大躍進運動が失敗し、5000万人が餓死した

3月16日 大躍進運動の失敗により、毛沢東の権力基盤が揺らいだ

3月17日 毛沢東は文化大革命を始めて、自分の権力を奪還しようとした

3月18日 文化大革命により、多くの人が死に、若者は教育を受けなかった

3月19日 毛沢東は、共産党の官僚たちをやっつけるために軍隊も使った

3月20日 毛沢東は劉少奇と鄧小平を失脚させ、林彪を後継者にした

3月21日 毛沢東と後継者の林彪は、互いに相手を疑って殺そうとした

3月22日 毛沢東にとっては、国民の半分が死ぬのは当たり前のことだった

3月23日 支那人は今でも皇帝が大好きである

3月24日 秦は諸侯を滅ぼして全土を直轄支配したが、すぐに滅びた

3月25日 皇帝制度は、支那人にとって良い制度ではない

3月26日 皇帝制度があるから、大勢の支那人が死ぬ

3月27日 習近平は、党・国家・軍をすべて押さえた

3月28日 支那人は、習近平皇帝を望んでいるかもしれない

3月29日 朝貢は手土産を贈るという意味で、臣従を意味しない

3月30日 支那の皇帝は、周辺国からなめられたら、武力侵攻する

3月31日 支那は好戦的である

4月1日 支那の尖閣列島侵略に備えて、憲法問題を処理しておかなければならない

4月2日 習近平は毛並みが良い

4月3日 習近平は、農民の心をつかんだ

4月4日 支那人には、他人どうしが助け合う考え方がない

4月5日 儒教は、他人どうし助け合いなさい、などとは言っていない

4月6日 支那人は他人が苦しんでいるのを見ても、さして心を痛めない

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