今から、戦後の日本社会が大乗仏教化したことの具体例を挙げていきます。
年功序列は、日本独自の人事システムですが、これは法臘(ほうろう)という仏教教団内部の序列システムから来ました。年功序列は戦前にはなかった労働慣行であり、日本社会が大乗仏教化したために起きたことです。このことは以前のブログで説明しました。
国籍とか民族の違いを認めない風潮が戦後になって顕著になりましたが、これも大乗仏教の発想から来ています。大乗仏教は、全ての人間はみな同じであり、人種・民族・男女の差などは幻想であって本当は存在しないと考えます。
マルクス系の社会主義も、民族や人種というのは資本主義社会が作り出したまやかしであり、本当は存在しないと考えます。だから世界は一つの社会主義政府に統一されるべきだ、と考えます。
このように、大乗仏教の教義からもマルクス系社会主義の理論からも、国籍とか民族の違いを認めない風潮にたどり着きます。敗戦直後にアメリカ占領軍によってもたらされたマルクス系社会主義は、戦後の大乗仏教化の波に乗り、社会主義と大乗仏教が融合しているような状態になっています。
国籍や民族を認めない考え方を日本人に植え付ける政策を最初に始めたのは、アメリカ占領軍でした。皆さんは、東大教授の江上波夫が主張した「騎馬民族説」をご存じだと思います。4~5世紀に、北方騎馬民族が朝鮮に侵入して王朝を建て、次に日本に侵入して原住民(日本人)を征服して大和王朝を建てたという説です。
この説に従うと天皇家の先祖は日本人でなく北方騎馬民族だったということになります。この説は日本人の優秀さを否定し、劣等感を植え付けます。しかし、この学説は学問的に成立しないことが証明され、この説を唱える歴史学者は今では誰もいません。
実は江波教授がこの説を主張したのは、日本がアメリカに占領されていた1949年のことでした。江波教授は後になって、「アメリカ占領軍から騎馬民族説を書け、と命令された」と告白しています。
以下はひと続きのシリーズです。
8月1日 1970年と1989年が、戦後のターニングポイント
8月4日 1970年頃から、電車の中で座席を譲らないようになった
8月6日 席を譲らなくなったのは、自由の考え方が強まったから
8月13日 日本を占領したアメリカ軍の幹部に社会主義者が大勢いた
8月20日 占領軍の社会主義者は、日本の軍人や官僚とは別系統だった
8月22日 アメリカ占領軍は、マルクス系社会主義を持ち込んだ
9月3日 Freedomを自由と訳したから、社会主義が仏教化した
9月10日 フランスの学生は、大乗仏教に影響されて大学紛争を起こした
9月12日 日本の学生は、フランス製の仏教思想によって、大学紛争を起こした