アメリカの占領軍が厳しい言論統制をしていたことは、承知の事実です。民主主義やFreedomは言論統制を悪いことだと考えます。これに対して、社会主義は言論統制を国家統治の重要な柱だと考えます。一般庶民を政府や独裁者などの言うことに従わせるというのが社会主義だからです。
アメリカ占領軍がやった言論統制は戦前の内務省がやった統制よりはるかに徹底していたので、それだけ社会主義の傾向が強かったということです。
財閥解体や農地解放(農地を地主から取り上げて、小作人にただみたいな値段で売り渡した)は、私的所有権を否定する政策でマルクス系社会主義そのものです。戦前の日本の社会主義官僚でもできなかった社会主義政策を、アメリカ占領軍は強行しました。
アメリカ占領軍は、刑務所で服役していた共産党員を釈放する一方、彼らを逮捕していた思想犯専門の特別高等警察(特高)を解散させました。釈放された彼らは、企業や公営団体に入り込んで組合を組織し、ストライキを盛んに行いました。
さらに共産党は、ゼネスト(ゼネラル・ストライキ)も行おうとしました。ゼネストは、革命政党が中央からコントロールして全国的に一斉に行うストライキです。その目的は労働者の待遇改善よりも、社会を混乱させて、革命を起こすことにあります。
アメリカ占領軍は、日本共産党がストライキを行うことを支援し、ゼネストを行うことまで当初は容認していました。つまりアメリカ占領軍は、日本で革命が起きることを傍観していたのです。
またアメリカ占領軍は、無理やりに日本国憲法を作らせました。この憲法は内容的にいろいろ問題があり、そもそもその成立のプロセスが怪しいので、ちゃんと成立しているのかという問題まであります。
その辺の具体的なことは後で説明しようと思いますが、その前にその存在自体が問題です。軍事力を持つことを許さないので、これでは社会を内外の敵から守ることが出来ず、社会は不安定になります。そして社会が不安定だと、社会主義化したり革命が起きたりします。この憲法の存在自体が社会主義的なのです。
以下はひと続きのシリーズです。
8月1日 1970年と1989年が、戦後のターニングポイント
8月4日 1970年頃から、電車の中で座席を譲らないようになった
8月6日 席を譲らなくなったのは、自由の考え方が強まったから
8月13日 日本を占領したアメリカ軍の幹部に社会主義者が大勢いた
8月20日 占領軍の社会主義者は、日本の軍人や官僚とは別系統だった
8月22日 アメリカ占領軍は、マルクス系社会主義を持ち込んだ
9月3日 Freedomを自由と訳したから、社会主義が仏教化した
9月10日 フランスの学生は、大乗仏教に影響されて大学紛争を起こした
9月12日 日本の学生は、フランス製の仏教思想によって、大学紛争を起こした