学校や家庭で、宗教を教えなくなった

マルクスは、「宗教はアヘンだ」と言いました。宗教は、民衆に慰めとあきらめをもたらし、現実の不幸を改革するために立ち上がるのを妨げている、ということです。

大正時代以降、日本で社会主義がはやるにつれて、知識人を自認する者たちは、「宗教心を持つのは恥ずかしいことだ」と考えるようになりました。その結果、特に知識人を自認する教師たちは学校で宗教を教えなくなり、文化人は宗教を語らなくなりました。

私自身は、小学校から大学まで、宗教に関する知識を教わった経験がありません。ただ「宗教を信じると宗教戦争を行うようになる」と言われただけでした。私の家は代々の門徒(浄土真宗の信者)で、田舎の寺では信者総代を務めたこともありましたが、墓を維持することだけに関心があり、家庭では宗教の話は一切しませんでした。

私の知人で有名な女子大を出た才媛は、宗教的な知識がまるでありません。昔の仏教の僧侶は結婚していなかったという事実をも知らなかったのです。私は彼女ほどの知性派がそんなことも知らないのに、驚きました。

私自身も人のことを言えた義理ではなく、宗教の初歩的な知識もありませんでした。大人になってからプロテスタントの教会に永年通い、中年を過ぎてから大学院で仏教を勉強しました。このようなことをやった後になってやっと、仏教やキリスト教やさらには神道の発想を知ることができました。

自分から進んで宗教的知識を求めるのでもなければ、今の日本ではごく基本的な宗教的知識さえ得られません。神様と仏様のどこが違うのか分かっている人は少ないです。

ほとんどの日本人は、基本的な宗教の知識がないために、自分の目の前で宗教的な発想に基づいて起きた事件を見ても、その意味が理解できません。その結果、今の日本社会には宗教的な行動などないと誤解をしています。

また、自分がかなり宗教的に行動しているのにも関わらず、自分のことを無宗教だと思い込んでいます。「多くの日本人は無宗教だ」という見解は正しくありません。宗教に関して意識的に考える習慣がなくなってしまった、と理解すべきなのです。

以下はひと続きのシリーズです。

7月14日 現代を宗教で読み解く

7月16日 宗教を本気で考える習慣が消えてしまった

7月18日 学校や家庭で、宗教を教えなくなった

7月21日 日本語に仏教用語が入り込んでいる

7月23日 神道の言葉も日本語に入っている

7月25日 社会を「科学的方法」で分析するのは難しい

7月28日 子供のころに感じた疑問は大切である

7月30日 ベトナム戦争の報道にも疑問を感じた

8月1日 1970年と1989年が、戦後のターニングポイント

8月4日 1970年頃から、電車の中で座席を譲らないようになった

8月6日 席を譲らなくなったのは、自由の考え方が強まったから

8月8日 日本人も、年功序列は問題があると思っている

8月11日 年功序列は仏教の発想

8月13日 日本を占領したアメリカ軍の幹部に社会主義者が大勢いた

8月15日 天皇制廃止は占領軍の社会主義政策

8月18日 言論統制も農地解放も占領軍の社会主義政策

8月20日 占領軍の社会主義者は、日本の軍人や官僚とは別系統だった

8月22日 アメリカ占領軍は、マルクス系社会主義を持ち込んだ

8月25日 戦後、日本は激しく大乗仏教化している

8月27日 戦後、神道の勢力が衰えた

8月29日 戦後、国籍や民族の違いを認めないようになった

9月1日 自虐は、大乗仏教と社会主義から来ている

9月3日 Freedomを自由と訳したから、社会主義が仏教化した

9月5日 「国家は悪いことをする」は仏教の発想

9月8日 1960年代に、日本の社会主義は大乗仏教化した

9月10日 フランスの学生は、大乗仏教に影響されて大学紛争を起こした

9月12日 日本の学生は、フランス製の仏教思想によって、大学紛争を起こした

9月15日 消費増税は、大乗仏教の発想からきた

9月17日 神道や仏教の知識がないから、日本の大乗仏教化に気づかない

9月19日 日本国憲法も、日本の大乗仏教化を促進した

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