日本の伝統的宗教は神道と大乗仏教です。明治維新の時、神道の一派である尊王思想によって日本社会が一新され、神道の考え方に基づいて天皇陛下を中心にした国家組織が樹立されました。
このため明治以後の日本社会では、神道の大乗仏教よりも神道の方がはるか勢力が強かったのです。しかし、敗戦後にアメリカ占領軍が、「日本を戦争に駆り立てたのは、天皇を神として崇拝する神道だ」と主張して、神道を弾圧しました。
キリスト教は、キリスト教以外の宗教を基本的に邪悪だと考えます。信仰の自由は、「キリスト教であれば宗派が違っても認めよう」という考え方で、18世紀のイギリスで起きました。本来はキリスト教に範囲を限定している考え方なので、キリスト教以外の宗教まで信仰の自由を拡大するのは、本来のキリスト教の在り方ではありません。
また、マルクス系の社会主義も、民族固有の文化を否定して世界統一国家を目指すので、民族宗教である神道を目の敵にします。キリスト教から見てもマルクス系社会主義から見ても、神道は邪悪な存在なのです。
昭和21年(敗戦の翌年)の元旦に、天皇陛下は詔書を出しましたが、この中に「天皇は現御神(あきつみかみ)ではない」とする一文がありました。この詔書は、天皇陛下がご自分のことを神ではない、と仰っているので、「天皇陛下の人間宣言」と、一般に受け取られています。
もともと神道には、天皇陛下を神とする考えはありません。天皇陛下は神の言葉を日本人に取り次ぐ仲介者というだけのことなのです。従って、この詔書は従来の天皇陛下の役割を変えたものではありません。
ところがアメリカ占領軍やマスコミは、この詔書を「天皇陛下は従来の説明を撤回して、今までの誤りを認めた」と理解しました。「天皇陛下が神だという従来の説はでたらめだったのだ」と国民に宣伝したのです。
占領軍やその指示を受けた者たち様々なガティブキャンペーンによって、日本人の神道に対する信仰が薄らぎ、神道の影響力が大きく低下し、その分大乗仏教の勢力が強くなりました。そして社会主義も大乗仏教の発想の影響を受けたのです。
以下はひと続きのシリーズです。
8月1日 1970年と1989年が、戦後のターニングポイント
8月4日 1970年頃から、電車の中で座席を譲らないようになった
8月6日 席を譲らなくなったのは、自由の考え方が強まったから
8月13日 日本を占領したアメリカ軍の幹部に社会主義者が大勢いた
8月20日 占領軍の社会主義者は、日本の軍人や官僚とは別系統だった
8月22日 アメリカ占領軍は、マルクス系社会主義を持ち込んだ
9月3日 Freedomを自由と訳したから、社会主義が仏教化した
9月10日 フランスの学生は、大乗仏教に影響されて大学紛争を起こした
9月12日 日本の学生は、フランス製の仏教思想によって、大学紛争を起こした