前回まで、敗戦後の日本全体が大乗仏教化しており、社会主義も大乗仏教化している、という話をしました。これから、第二次大戦後の世界を宗教的な視点から見ていこうと思っています。
アメリカは、国家の成り立ちからしてバリバリのキリスト教国家です。このことは皆さんもよくご承知だと思うし、私もこのブログで何度か説明してきました。もう一度、簡単に説明します。
17世紀の初めに、イギリス国王の迫害を逃れた熱心なプロテスタントがアメリカに移住して、教会を中心とした「宗教共和国」とでもいうべき自治体を建設しました。その後、宗教に無関心で土地を求めるだけの移住者が増えてきて、キリスト教に対する熱意が衰えた時もありました。
しかし、18世紀前半に「大覚醒」というキリスト教再興の運動が起き、アメリカは非常に熱心なキリスト教国になりました。この大覚醒運動は以後ずっと続いており、今では、「インターネット礼拝」という形をとっています。
インターネットを活用して全米・全世界で何万人という信者を獲得している巨大教会が次々に生まれ、アメリカ社会をキリスト教的にするのに一役かっています。
キリスト教は、人間がイエス・キリストを信じると、神はその人間に神の魂が入った息を吹きかけると考えます。神の魂がその人間の心に付着すると、その人間の心は強く正しくなり、正しいことしかしなくなります。
アメリカ人の多くは熱心なキリスト教徒ですから、「自分の心に神の魂が付着しているため、自分の考えていることは正しい」と思っています。そして自分と相手の意見が違えば、相手が間違っていると考えるのです。アメリカの行動を注意深く観察すれば、これがアメリカ人の思考だということに納得するはずです。
キリスト教から生まれたのがFreedomですから、アメリカ人はFreedomを大事にします。正しい心で仲間を助けるために必要だと判断したら、たとえそれが法律や慣習に反しても良いのです。そして相手が異教徒などの理由で心が邪悪だと判断したら、力で相手に正しいことを強制しなければならない、と考えます。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている