第二次世界大戦後に、アメリカとイスラエルが親密な関係になりましたが、これにはいくつかの理由があります。
一つ目の理由は、ユダヤ人自身が、アメリカの政界における影響力を拡大しようと努力したことです。ユダヤ人は都市に集中して住んでいます。アメリカに住んでいるユダヤ人は600万人で全人口の2%に過ぎないのですが、都市部では人口比率が高いです。そこで都市部を選挙の地盤にする政治家に対して、票を集中することによって、彼らへの影響力を強めました。また、ユダヤ人には富豪が多いので、彼らは政治家に対して選挙資金攻勢もかけました。
第二次世界大戦後しばらくの間は、ユダヤ人に対する差別がありました。大学を卒業したユダヤ人学生は、製造業や保険など当時の花形産業にはなかなか就職ができなかったのです。そこでマスコミや映画など人気のない業界で仕事を始めました。
マスコミや映画産業を支配したユダヤ人は、自分たちの大衆への大きな影響力を行使して、アメリカ人を親ユダヤに誘導していきました。これがアメリカとイスラエルが親密な関係になった二番目の理由です。
ユダヤ人は長い間、故国を持たなかったので愛国心がなく、基本的にグローバリストです。彼らは西欧諸国で民族主義者から迫害を受けてきました。マスコミやハリウッドなどがヒステリックに反トランプのキャンペーンを行う理由の一つは、ユダヤ人のこのような性格の影響を強く受けていることです。
上記の二つの理由は、アメリカがイスラエルを特別扱いするようになった理由としては理解しやすいものです。しかし人口の2%しかいないユダヤ人が政治家に対してそこまで大きな影響を持てるはずもありません。三番目のもっと大きな理由があります。それが、アメリカ人の福音派(Evangelical)がイスラエルを支持するようになった、ということです。
福音派というのは、聖書に書かれている内容は比喩などではなくすべて本当のことだ、と信じているキリスト教徒のことを指します。
聖書には、通常は起こりえない奇跡が数多く記されています。イエス・キリストがガリラヤ湖の水面を歩いたとか、死者を生き返らせた、はりつけになって三日後に生き返って弟子たちの前に姿を現した、などです。普通の日本人はこんなことは信じられないと思います。
別に無理に信じなくても良いのですが、自分が信じないからと言ってこのような聖書の記載を無視するのは、得策ではありません。アメリカにはこのような聖書の記載が実際にあった、と信じている福音派が8000万人いるのです。
なお、「福音派」という特定の宗派があるわけではありません。「聖書に書かれていることはすべて本当だ」と思っているキリスト教徒を「福音派」と言うのです。トランプは改革派長老教会というプロテスタントに属している福音派であり、ペンス副大統領はカトリックの福音派です。トランプ政権は福音派連合なのです。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている