南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした

アメリカ人の多くはイエス・キリストを信じています。だから神様によって自分の心は正しくされている、と信じています。自分が正しいと思っているから、相手と意見が合わないと相手が悪いと思い、すぐに喧嘩をします。アメリカは独立以来100回以上も戦争をしています。このことは前回も書きました。

実は、アメリカ国内でもこのような理由で戦争をしています。これが南北戦争(1861年~1865年)です。

北部の諸州は、イギリスで迫害された熱心なプロテスタントがアメリカに移住してできた植民地が発展したものなので、非常に信仰熱心です。ところが南部諸州は、イギリス王がお気に入りの家来に領土として与えた植民地などからスタートしているので、信仰的には北部ほど厳格ではありません。南部と北部とではキリスト教に対する態度が少し違うのです。

北部の移住者は家族で農業を行っていたので、奴隷労働を必要としていませんでした。だから北部諸州は、白人キリスト教社会には異質の黒人奴隷を、独立する前から禁止していました。しかし南部諸州では、黒人奴隷を使って大規模な綿花栽培農園を経営し、それをイギリスに輸出していました。

つまり、北部と南部は宗教的な違いの上に、社会構造や黒人奴隷の有無などの違いが重なり、かなり文化的な違いが出てきました。19世紀半ばには、北部はFreedomの考え方から産業革命が進展し、移民も増えたため、経済的・政治的に南部を圧倒するようになりました。

・                                  北部    南部
戦争直前の白人人口   2200万人  550万人
戦争直前の黒人人口    40万人  350万人
鉄道マイル数       21,800       8,800

このまま推移したら、北部は南部に対して自分たちが正しいと考えることを強制することになりそうでした。そこで南部諸州は、自分たちの文化を守ろうとしてアメリカ合衆国から離脱して、独自の国家(アメリカ連合国)を作りました。

人口や生産力を冷静に判断したら、南部が北部に勝てるわけがありません。南部には黒人が多くいましたが、奴隷の彼らを兵士にするわけにはいきません。兵器を手にしたら、彼らは反乱を起こすかもしれないからです。負けると分かっていても、彼らは戦争の道を選びました。それほど北部を嫌っていたわけです。

以下はひと続きのシリーズです。

9月22日 アメリカはできた当初からキリスト教国家である

9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする

9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした

9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い

10月1日 アメリカのFreedomを変えたのは社会主義

10月3日 アメリカでは、民主党が社会主義化した

10月6日 共和党にグローバリストのネオコンが入り込んだ

10月8日 アメリカはどんどんグローバル化した

10月10日 オバマは社会主義者でグローバリスト

10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった

10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった

10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom

10月20日 アメリカは今でも白人が圧倒的に多い

10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる

10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた

10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った

10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている

10月31日 アメリカでの宗教の自由

11月3日 スンニー派とシーア派の対立は、宗教対立ではない

11月5日 イランは、中東の他の国とは人種が違う

11月7日 イスラム教には、Freedomや誠の考え方がない

11月10日 イスラム教徒は、社会的ルールを破る必要がない

11月12日 支那人は、血族が集まって集団を作る

11月14日 支那では、宗族しか頼りにならなかった

11月17日 支那人には、仲間を助ける、という発想がない

11月19日 朝鮮では、儒教は消滅した

11月21日 新羅は民族国家ではなかった

11月24日 南北朝鮮が、対等な関係で統一されることはない

11月26日 日本は、朝鮮を相手にすべきではない

11月28日 アメリカと西欧は、基本的に似ている

12月1日 バラモン教の信用が落ちてきた

12月3日 インドに行けば、日本人は下層民扱いを受ける

12月5日 これから、宗教の違いが重要になる

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