1981年~1993年の12年間は、共和党のレーガンとブッシュ(父)が大統領でした。レーガン大統領はアメリカの社会主義化を阻止しようと努力をしました。その一環としてネオコン(ネオ・コンサーバティブ 新保守主義)勢力との協力関係を強化しました。
ネオコンの起源をたどっていくと、ロシア革命の時の指導者だったトロツキーにたどり着きます。彼は社会主義革命をロシア国内にとどめるのではなく、世界全体に拡大しようとしました。これに対してスターリンは、まずはロシア国内の革命を優先しようとしました。トロツキーは社会主義者であるとともに、民族や国家を認めないグローバリストだったのです。
スターリンとの勢力争いに負けたトロツキーは、ロシアを追い出されてメキシコに逃げ、そこで暗殺されました。トロツキーと同じ考え方をしていた仲間(多くはユダヤ人)がアメリカに逃げました。彼らはアメリカに逃げて命が助かったので、アメリカに感謝し、Freedomの考え方を受け入れました。特に政府が市場に介入しない市場経済体制を重視し、私有財産廃止や統制経済をしようという社会主義から離れていきました。
もともと彼らは社会主義者である頃からグローバリストで民族や国家を認めようとしませんでしたが、その考え方だけは、アメリカにやってきた後も変わりませんでした。つまり彼らは、経済的には市場経済を信奉し、一方でグローバリストでした。
グローバリズムは、気心の知れた人間を仲間と考えるFreedomの考え方とは違います。だからネオコンは、半分は社会主義者のままだったのです。しかし彼らは、自分たちの考え方もFreedomだと考えていました。そして、民族や国境を無視して世界中にFreedomを普及させようと考えました。Freedomを認めない国家に対しては、軍事力で従わせようとするので、非常に好戦的です。
もともとFreedomには、イエス・キリストを信じないので心が邪悪なままの者に対しては、力で正しいことを強制的に行わせなければならない、という考え方があります。ネオコンはこの考え方が特に強いのです。
好戦的なネオコンの支持を得て大統領になった共和党のレーガン(1981年~1989年)は、社会主義のソ連を「悪の帝国」と呼びました。アメリカの大原則に反する邪悪な国だからです。レーガン大統領と同じく共和党のブッシュ(父)大統領(1989年~1993年)はソ連との対決姿勢を強め、遂にソ連を崩壊させました。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている