Freedomはキリスト教の信仰から生まれた考え方で、「隣人愛」を重視します。「隣人同士で助け合いなさい。隣人を助けるためであれば、場合によっては法律や慣習などのルールを破っても構わない」という考え方です。
「隣人」というのは字のごとく「隣に住んでいる人」であって、同じ神様を信じ、言葉が通じ、気心が知れている人を指します。「隣人」をすべての人間と考え「人類みな兄弟」と考えるのは完全な誤解で、これは大乗仏教の発想です。
そもそもキリスト教は、イエス・キリストを信じている人間だけが正しい心を持てる、と考えます。イエスを信じているから心正しい者と、異教徒なるがゆえに心が邪悪な者が、互いに同じレベルで助け合うことなどできるはずがありません。
要するにアメリカ人にとって互いに助け合うべき隣人とは、同じ神を信じる者です。その中でも特にアメリカ人のことです。キリスト教の教義からすれば、こういうことになるのです。ただこれを公の場ではっきり言うと様々な物議をかもすし、キリスト教徒以外のアメリカ人も選挙権を持っているので、現実にはその意味を薄め曖昧な表現をする、ということです。
トランプが言っている「アメリカ・ファースト」も、こういう文脈で考えるとよく理解できます。トランプにとって互いに助け合う隣人はキリスト教徒であるべきアメリカ人だから、アメリカ人を優先するのです。
このようにトランプの「アメリカ・ファースト」にはキリスト教の考え方が含まれており、社会主義者やネオコンもこのことを感じ取りました。彼らは、宗教・民族固有の文化・人種などの違いを認めず世界を一つにしようと考えているグローバリストなので、トランプに反対したのです。
アメリカのマスコミやハリウッドは、ごく一部を除いてグローバリストです。マスコミのトランプを貶める報道やレディー・ガガなどのハリウッド・スターの常軌を逸した反トランプ・キャンペーンを思い出してください。
彼らは、セクハラや下品な人格攻撃など感情的な攻撃をトランプに対して行いました。彼らはトランプの個々の政策が気に入らないというよりは、アメリカをキリスト教の社会に戻すのを心情的に嫌がっているのだと思います。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている