前回のブログで書いたように、聖書は「イスラエル国家が再建され、その後ハルマゲドンの戦いが起きる。さらに紆余曲折があるが、本物のキリスト教徒は最後の審判で永遠の生命を与えられる」と予言しています。1948年にイスラエル国家が建設され、1967年に第三次中東戦争でイスラエルが完勝しました。この予言の最初の段階が実現したのです。
それを目の当たりにしたアメリカの福音派は、聖書の予言は必ず実現するということに確信を深めました。また、「自分はイエス・キリストを信じる者だから、必ず神から永遠の命を与えられる」と思ったはずです。
こんな予言など信じられず、「このようなことを真に受けるのはバカだ」、と思う日本人は多いと思います。しかし、これを笑い飛ばすのではなく、むしろこの問題を真剣に考えるべきです。なにしろ、8000万人のアメリカ人がこれを真に受けているのです。彼らは選挙権を持っているので、自分たちの望むことを行う大統領や議員を選出できるのです。
アメリカの福音派は、この聖書の予言を早く完成させ、最後の審判で早く永遠の命を授かりたいと思っています。しかしその前に、ハルマゲドンの戦いがあります。この戦いでイスラエルに勝ってもらわないと予言が進行しません。
そこでアメリカの福音派は、アメリカ政府にイスラエルを強力に支援するように要求しているのです。8000万人の選挙民の要求を拒否できる政治家などいません。アメリカはイスラエルに、一貫して資金援助と軍事技術援助をしています。アメリカがこのようなことをする国はほかにありません。
2015年にイスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカ議会で演説してオバマ大統領の外交を批判しました。外国の首脳がその国の議会に乗り込んでその国の首脳を批判するという失礼なことをやったわけです。ここまでアメリカの政府は、イスラエルを甘やかしているのです。
この件を見ても、アメリカのキリスト教の勢力がとてつもなく強いことが分かります。8000万人の福音派の存在に気が付かなければ、なぜここまでアメリカがイスラエルに入れ込むのか、その理由は決して分かりません。経済的要因だけで世界の動きを読み取ることはできないのです。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている