2016年のアメリカの大統領選挙は、「アメリカ・ファースト」を認めるか否か、即ちFreedomやキリスト教の復権を認めるか否か、が争点でした。そしてトランプが僅差で勝ちました。アメリカのマスコミやその論調をそのまま流しただけの日本のマスコミは、ヒラリー・クリントンの勝利予想を最後まで流していました。彼らは、先入観に捉われ、自分で調べ判断することができなくなっています。
トランプが僅差で勝ったということは、キリスト教の復権を望んだアメリカ人が反対派よりもわずかに多かったということで、いま両者の勢力は伯仲しています。あと二週間後にまた大統領選挙が行われますが、その結果によって今後のアメリカの運命はまるで違うことになります。
人種差別反対運動や性的少数者保護運動が、アメリカで盛り上がっています。しかしこれらの運動はキリスト教の信仰とは対立関係にあります。詳しい説明はしませんが、黒人差別は、予定説というキリスト教の教義に理論的根拠があります。またキリスト教は神が男女の性別を決めたと考えるので、自分の性に不満を持つのは神の意志に逆らうことになります。
この二つは非常にデリケートな問題であり、運動に正面から反対する人は多くいません。しかしこの問題がいつまでも片付かずグズグズしているのは、この運動に疑問を感じている人が多いからです。
今、キリスト教の復活を望む勢力はトランプ大統領の出現で勢いづいています。もしも来月の選挙でトランプが勝つようなことになれば、人種差別や性的少数者差別がアメリカで盛んになる可能性があります。
特に人種差別については、下記の事実をはっきりと認識しておくべきです。
アメリカの人種別人口は、白人が78%、黒人が13%、その他が9%で、白人が圧倒的に多いのです。
白人とは別にヒスパニックという区分をする統計もありますが、ヒスパニックは人種の区分ではなくスペイン語を話す人という文化的な分類であって、アメリカに5000万人以上おり、人種的には白人と有色人種の両方がいます。例えば、マルコ・ルビオ上院議員はヒスパニックですが、人種的には白人です。ヒスパニックの中の人種的に白人の者たちを合算すると、白人が78%になります。
今までのアメリカは、人種差別は悪いことだということをマスコミや学校が教えています。しかし、今後キリスト教の勢力が強くなれば、急に人種差別が激しくなる可能性があります。今、アメリカ人の間に中国人に対する嫌悪の感情が広まっています。これが有色人種に対する差別に結び付くかもしれません。
日露戦争で日本が勝ったあと、アメリカが急に日本人移民を排斥するようになった事実もあります。アメリカの人種差別が過去のことだと思い込むことは、危険だと思います。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている