アメリカにおけるReligious Freedom(宗教の自由)について、説明しようと思います。結論から先に言えば、アメリカのReligious Freedomは日本人が考えているものとは、かなり内容が異なります。
西欧の各宗派の信者は集団でまとまってアメリカに移住し、そこで教会中心の組織を作りました。これが今の州の起源です。植民地ごとに宗派が決まっており、異なる宗派のキリスト教徒はその植民地から追放されました。魔女として焼き殺された者もいました。要するに州ごとに「国教」があって、Religious Freedom(宗教の自由)などありませんでした。
この弊害が大きくなったので、アメリカ合衆国憲法修正第一条で、「連邦議会は、国教を樹立し、若しくは信教上の自由な行為を禁止する法律を制定してはならない」、と規定しました。これは、「キリスト教であればどんな宗派も認める」という意味であって、仏教やイスラム教のことを考えていたわけではありません。
そもそもキリスト教徒にとって正しい宗教はキリスト教しかないのだから、Freedomを認めるのもキリスト教だけなのです。イギリスは17世紀までは、他の宗派の存在は認めませんでしたが、18世紀になって、プロテスタントの間では互いの存在を認めるようになりました。カトリックを認めるようになったのは19世紀半ばになってからです。
今のアメリカやイギリスでは、イスラム教などキリスト教以外の宗教にもReligious Freedomを認めるようになりましたが、これはグローバル主義に押し流されてのことであって、本来のFreedomの考え方ではありません。
トランプ大統領の政権は、中国共産党によるウイグルのイスラム教徒やチベットの仏教徒弾圧を非難し、Religious Freedom(宗教の自由)を主張しています。それはアメリカ国内であらゆる宗教を認めない社会主義者・グローバリストの勢力が強くなっているので、全ての宗教が結束しなければならなくなっているからです。
もしも今後アメリカ国内でキリスト教の勢力が強くなれば、Religious Freedom(宗教の自由)の解釈が変わり、キリスト教だけが対象になるかもしれません。Freedomがキリスト教から生まれたという事実を考慮すると、このような予測もでてくるのです。
以下はひと続きのシリーズです。
9月24日 自分が正しいと思っているから、アメリカは戦争ばかりする
9月26日 南部は、北部の文化の押し売りを嫌がって、南北戦争を起こした
9月29日 アメリカ人の、「自分は正しい」という発想は根強い
10月13日 トランプは、共和党の中のネオコンと戦って大統領になった
10月15日 トランプは、「メリー・クリスマス」にこだわった
10月17日 トランプの「アメリカ・ファースト」はFreedom
10月22日 ユダヤ人のほとんどは、アメリカとイスラエルに住んでいる
10月24日 第二次大戦後にアメリカはイスラエルを特別扱いし始めた
10月27日 「聖書の予言は必ず実現する」とアメリカの福音派は思った
10月29日 8000万人のアメリカ人が最後の審判を信じている