安全保障について多くの日本人が考えている事(憲法、核兵器、日米安全保障条約、文民統制などについて)が非常に歪んでいる、ということを昨日まで説明してきました。
多くの日本人にとって、日本の安全保障や軍事は、自分たちの問題ではなく他人事なのです。考えていることは現実を見つめて考え抜いた末に出した結論ではなく、適当に思いついただけのようにも感じられます。
その底には、「どんな理由があれ、戦争は良くない」「国家は悪いことをする」という発想があります。日本人は、このような考え方が世界的に見て特殊であり外国人に通じない、ということに気がついていません。
学校の教育も非常に歪んでいます。私が高校2年生の終わりころですから大昔のことですが、担任の先生が私に進路を尋ねました。私が「防衛大学校を受けようかなと思っている」と返事をしました。そうしたらその後が大変で、担任の先生は私の親に電話をし、「お宅では、日ごろどのような教育をしているのだ」と問い詰めてきたそうです。
私は近視なので受験資格がなく、防衛大には行かなかったのですが、祖国のために戦うというのも良いな、という素朴な気持ちに対してこのようなリアクションが来たことにがっかりしました。戦前の日本は、こうではありませんでした。軍人は尊敬され、海軍兵学校や陸軍士官学校は狭き門でした。アメリカでも他のまともな国でも、軍人は今でも尊敬されています。
なぜ日本はこんなになってしまったのだろう、と長い間疑問でした。そして社会に出てだいぶ経ってから、「これは仏教の影響から来たのではないか」と閃きました。そこで大学に入りなおして仏教を勉強し、修士課程で大乗仏教を研究しました。
勉強の結果、「国家は悪いことをする」「どんな理由があろうとも、争いは良くない」「外国人も日本人も同じ人間であって、差別はいけない」という発想は、大乗仏教の教義から来ているということが、はっきりしました。
日本人は昔から、大乗仏教を信仰していました。しかし仏教の考え方は死んであの世に行った者たちにのみ適用され、現世(浮世)は神道の考えで仕切っていました。それが明治になって仏教の発想が現世に入り込んできて、戦後はその傾向がはなはだしくなりました。
これが日本を大きく害しています。仏教の発想はあの世にのみ適用する、という日本の伝統に復帰しなければなりません。
以下はひと続きのシリーズです。
4月8日 5月に、トランプ大統領と金委員長が首脳会談をすることになった
4月9日 トランプ大統領は、とりあえず習近平に北朝鮮を抑えさせようとした
4月10日 トランプ大統領は、支那を外して直接北朝鮮と交渉し、核を放棄させようとしている
4月11日 最近まで、アメリカ人は支那をかわいそうな国だと思っていた
4月13日 支那は豊かになることによって自由な社会を作る、とアメリカ人は勘違いした
4月14日 支那に買われたアメリカの政治家やマスメディアは、今後もトランプ大統領に反対し続けるだろう
4月19日 アメリカと支那の冷戦がはじまると、支那が日本に仕掛ける宣伝戦はもっと激しくなる
4月20日 今のままでは、日本は支那の宣伝戦に耐えられそうにない
4月21日 日本は明治になるまで、支那の宣伝戦を経験しなかった
4月22日 日本人も外国人も同じ人間である、と思い込む習性が日本人にはある
4月24日 大乗仏教の影響で、日本人はウソの宣伝戦に騙されやすい
4月25日 支那の宣伝戦は、「国家は悪いことをする」と考える日本人の弱点を突いてくる
4月29日 憲法の本質的な議論を60年間避け続けてきたツケを、今ごろ払っている
5月1日 北朝鮮の核開発リスクは、従来からあるリスクにもう一つ追加されただけ