日本の安全保障問題には、触れてはならないタブーがいくつかあります。そのうち、一番重要なものは、日本国憲法は成立していない、ということです。
ご存じのように日本国憲法は、戦争に負けて日本がアメリカに占領されていた時代にアメリカが実質的に作ったものであって、日本人の意思はほとんど反映されていません。
1899年にオランダのハーグで、第1回万国平和会議が開催され、「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約(ハーグ陸戦条約)が採択されました。宣戦布告、捕虜など戦争に関するルールを決めた条約で、日本は1911年に批准し今に至っています。
この43条は、「国の権力が事実上占領者の手に移った上は、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施せる一切の手段を尽くさなければならない」と規定しています。アメリカは日本を占領している間に新しい憲法を作らせたわけですから、明らかにこの条約の43条に反しています。
そもそも一国の憲法は、何人かが集まって相談しその内容を紙に書いたらそれで出来る、というものではなく、多くの国民が真剣に国の体制を議論した後に初めてできるものです。最初は冷静に議論していても、事が非常に重大なので次第に激高し、ついにはお互いに武力に訴えて内乱になり、国民の幅広い支持を受けたグループが勝ってやっとできるほどのものです。
その典型がフランスの憲法で、フランス人は自由・平等という権利を求めて革命を起こし何万人というフランス人が血を流した後、初めてできたものです。日本も同じです。維新の内乱の過程で、憲法を作ろうという合意が日本人の間にできました。その合意に基づき時間をかけて調査や議論を尽くして作ったのが、大日本帝国憲法です。
大日本帝国憲法は、日本が戦争に負け独立を失った瞬間に自動的に消滅しました。その後、アメリカ占領軍が日本国憲法なるものを作りましたが、ハーグ陸戦条約に違反しているし、そもそも日本人はその制定に参加していません。この憲法の賛否を問う国民投票も行われていないのです。
日本国憲法は、どう考えても成立していません。今の日本は、成文憲法典がなく、慣習に基づく憲法秩序によって運営されています。しかし成文憲法典がないということが特に異常な状態というわけではなく、現にイギリスも成文憲法典がありません。
以下はひと続きのシリーズです。
4月8日 5月に、トランプ大統領と金委員長が首脳会談をすることになった
4月9日 トランプ大統領は、とりあえず習近平に北朝鮮を抑えさせようとした
4月10日 トランプ大統領は、支那を外して直接北朝鮮と交渉し、核を放棄させようとしている
4月11日 最近まで、アメリカ人は支那をかわいそうな国だと思っていた
4月13日 支那は豊かになることによって自由な社会を作る、とアメリカ人は勘違いした
4月14日 支那に買われたアメリカの政治家やマスメディアは、今後もトランプ大統領に反対し続けるだろう
4月19日 アメリカと支那の冷戦がはじまると、支那が日本に仕掛ける宣伝戦はもっと激しくなる
4月20日 今のままでは、日本は支那の宣伝戦に耐えられそうにない
4月21日 日本は明治になるまで、支那の宣伝戦を経験しなかった
4月22日 日本人も外国人も同じ人間である、と思い込む習性が日本人にはある
4月24日 大乗仏教の影響で、日本人はウソの宣伝戦に騙されやすい
4月25日 支那の宣伝戦は、「国家は悪いことをする」と考える日本人の弱点を突いてくる
4月29日 憲法の本質的な議論を60年間避け続けてきたツケを、今ごろ払っている
5月1日 北朝鮮の核開発リスクは、従来からあるリスクにもう一つ追加されただけ