シビリアン・コントロールという言葉が良く使われています。これを文民統制と訳していますが、これは誤解を与える表現です。シビリアン・コントロールとは、選挙で選ばれた国民の代表である国会が最終的に戦争に関する意思決定をする、という意味です。
軍事は指揮命令系統がはっきりしていて即決をしないと負けてしまうので、議会が首相や大統領という一人の人間を最高司令官に任命して戦争の実務を委ねるわけです。首相や大統領に作戦などの実務は任せますが、宣戦布告や講和・戦争の目的などの重要なことは議会が決める、という主旨です。
ところが文民統制の意味を勘違いして、「首相や大統領など軍の最高司令官が軍人出身であってはならない」という意味だと思い込んでいる日本人が大勢います。アメリカなどは歴代45人の大統領の内8人が軍人あがりです。
初代大統領のジョージ・ワシントンは、アメリカ独立軍の最高司令官でした。34代のドワイト・アイゼンハワーは、第二次世界大戦時の連合国の最高司令官で100%純粋の軍人ですが、戦後に大統領に選出されました。
「軍人は戦争をやりたがるから、軍人を首相にしてはならない」というのも、おかしな考え方で、戦争を嫌がる軍人もいるし、戦争大好きの非軍人もたくさんいます。戦争を始めた時のアメリカの大統領は、たいがいが非軍人あがりです。ヒットラーも非軍人でした。
逆に「戦争になったら部下が死ぬことになるから、軍人は戦争に慎重だ」という意見もありますが、そうとも言い切れません。ナポレオンは純粋の軍人でしたが、戦争が大好きでした。
戦争が好きか嫌いかと職業は関係がなく、その人物の個人的な性格による部分が大きいようです。「戦争には非常に慎重だが、必要であればやらなければならない」と考える人物を職業に関係なく首相にするべきです。
もちろん、戦争に関する知識を多く持っている人が望ましいです。間違っても「戦争が三度の飯より好きだ」などという性格異常者を、首相にしてはなりません。
以下はひと続きのシリーズです。
4月8日 5月に、トランプ大統領と金委員長が首脳会談をすることになった
4月9日 トランプ大統領は、とりあえず習近平に北朝鮮を抑えさせようとした
4月10日 トランプ大統領は、支那を外して直接北朝鮮と交渉し、核を放棄させようとしている
4月11日 最近まで、アメリカ人は支那をかわいそうな国だと思っていた
4月13日 支那は豊かになることによって自由な社会を作る、とアメリカ人は勘違いした
4月14日 支那に買われたアメリカの政治家やマスメディアは、今後もトランプ大統領に反対し続けるだろう
4月19日 アメリカと支那の冷戦がはじまると、支那が日本に仕掛ける宣伝戦はもっと激しくなる
4月20日 今のままでは、日本は支那の宣伝戦に耐えられそうにない
4月21日 日本は明治になるまで、支那の宣伝戦を経験しなかった
4月22日 日本人も外国人も同じ人間である、と思い込む習性が日本人にはある
4月24日 大乗仏教の影響で、日本人はウソの宣伝戦に騙されやすい
4月25日 支那の宣伝戦は、「国家は悪いことをする」と考える日本人の弱点を突いてくる
4月29日 憲法の本質的な議論を60年間避け続けてきたツケを、今ごろ払っている
5月1日 北朝鮮の核開発リスクは、従来からあるリスクにもう一つ追加されただけ