核兵器の持つ途方もない影響力を現実に見てはじめて、北朝鮮があれほど核開発に固執している理由を私は実感できました。もうすぐアメリカのトランプ大統領は、北朝鮮の金委員長に核開発の放棄を迫る予定ですが、会談の結果がどのようなものであるにせよ、あまり信用できるものではない、と私は考えています。
今回二人が核開発に関して会談を行うようになったのは、トランプ大統領が北朝鮮の核開発に非常に強硬な態度を示したからです。逆に言えば、オバマさんのような宥和的な大統領に変われば、また北朝鮮の核開発を放置する政策に逆戻りする、ということです。
北朝鮮が現有の施設や核兵器を廃棄しておとなしくしている間に、アメリカの政治情勢が変化して北朝鮮が核開発を再開する可能性は大いにあります。北朝鮮が、核兵器や技術者をアメリカ軍の査察に備えてイランやロシアに一時的に非難させている、という情報もあります。どう考えても永久に北朝鮮に核を持たせないでおく方法は無いようです。
支那もロシアもアメリカ本土を攻撃できる核兵器をすでに持っているので、北朝鮮が新たにその仲間に加わったとしても、アメリカとしては今までと状況は基本的に変わりません。アメリカは今でも、北朝鮮と戦うのが嫌だから会談をするわけです。
北朝鮮がアメリカ本土を攻撃する核兵器を完成させた後に、アメリカは日本を守るために北朝鮮と戦って、自国民に甚大な被害が出るリスクを冒すでしょうか。
同じことは日本についても言えます。北朝鮮の核兵器を完全に廃棄させることができたとしても、支那やロシアの核兵器はそのままで、その筒先は日本の主要都市に照準を合わせています。これは将来の話ではなく、現に日本に向けられているのです。
さらに言えば、アメリカも日本を核攻撃できます。今現在アメリカが日本を核兵器で攻撃することはあり得ません。しかし未来永劫そんなことはない、とは断言できないでしょう。今の日本人の態度は、従来の危険に慣れてしまって考えることをやめてしまい、新たな脅威に対してのみ過敏に反応しているということです。
以下はひと続きのシリーズです。
4月8日 5月に、トランプ大統領と金委員長が首脳会談をすることになった
4月9日 トランプ大統領は、とりあえず習近平に北朝鮮を抑えさせようとした
4月10日 トランプ大統領は、支那を外して直接北朝鮮と交渉し、核を放棄させようとしている
4月11日 最近まで、アメリカ人は支那をかわいそうな国だと思っていた
4月13日 支那は豊かになることによって自由な社会を作る、とアメリカ人は勘違いした
4月14日 支那に買われたアメリカの政治家やマスメディアは、今後もトランプ大統領に反対し続けるだろう
4月19日 アメリカと支那の冷戦がはじまると、支那が日本に仕掛ける宣伝戦はもっと激しくなる
4月20日 今のままでは、日本は支那の宣伝戦に耐えられそうにない
4月21日 日本は明治になるまで、支那の宣伝戦を経験しなかった
4月22日 日本人も外国人も同じ人間である、と思い込む習性が日本人にはある
4月24日 大乗仏教の影響で、日本人はウソの宣伝戦に騙されやすい
4月25日 支那の宣伝戦は、「国家は悪いことをする」と考える日本人の弱点を突いてくる
4月29日 憲法の本質的な議論を60年間避け続けてきたツケを、今ごろ払っている
5月1日 北朝鮮の核開発リスクは、従来からあるリスクにもう一つ追加されただけ