日本とアメリカは、「日米安全保障条約」という変則的な軍事同盟を締結しています。アメリカが日本を守ってやるという要素が強い内容なので、「この条約があるから、アメリカは日本を守ってくれる。だから日本は軍備を持たなくても良い」と、今でも多くの日本人は誤解しています。
近代日本が初めて結んだ軍事同盟が、1902年に締結された日英同盟です。その内容は、日本がロシアと戦争になった場合は、イギリスは中立を守り、それ以上の国の参戦を阻止しなければならない、という内容でした。日本が2国以上と交戦するようなはめになったらイギリスも参戦する義務がありました。
日本は、まずは必死になって敵と戦わなければなりませんでした。この条約は特に日本に過酷というわけではなく、ごく普通の軍事同盟でした。自分の国は自分で守るというのが、大原則なのです。
日米安全保障条約はこの大原則から逸脱しています。日本はアメリカ軍に基地を提供しアメリカ側の陣営に入り、核兵器を持つことを断念するという条件になっています。このように日本は特殊な負担をしているのでその分だけ、日本が自国を守る義務が軽減されています。
しかし軽減されているだけで、日本が戦わなければならないことには変わりありません。敵が攻めてきたら、アメリカ軍がやってくるまで日本はしばらくの間独力で防戦をしなければならないのです。
日本の変則的な役割は、アメリカの一般人にはなかなか理解されないでしょう。アメリカ人は「自分の国は自分で守るのが当たり前だ」と思っているので、日本の態度を甘えと見るでしょう。自国が攻められている時に手を抜きながら戦っている日本を見て、アメリカ人は日本を守ろうとして血を流すでしょうか。
結局、アメリカが日本に要求していることは、矛盾だらけで、世界的な常識から外れています。「日本は軍事的に強くなるな、核兵器は持つな、しかし戦え」というのはどう考えてもおかしいです。
日本がアメリカ軍に提供している基地は非常に価値が大きいです。必要な物資はすぐに調達できるし、修理などをする日本企業は良い仕事をします。だから「日本の基地は価値が大きいから、アメリカは日本をまじめに守る」という議論があります。
たしかにそういう要素もありますが、アメリカは日本を潜在的にライバルだと考えているということを忘れてはなりません。アメリカは日本を便利使いしているだけで、本気になって守ろうなどとは考えていないとしか私は考えられません。
以下はひと続きのシリーズです。
4月8日 5月に、トランプ大統領と金委員長が首脳会談をすることになった
4月9日 トランプ大統領は、とりあえず習近平に北朝鮮を抑えさせようとした
4月10日 トランプ大統領は、支那を外して直接北朝鮮と交渉し、核を放棄させようとしている
4月11日 最近まで、アメリカ人は支那をかわいそうな国だと思っていた
4月13日 支那は豊かになることによって自由な社会を作る、とアメリカ人は勘違いした
4月14日 支那に買われたアメリカの政治家やマスメディアは、今後もトランプ大統領に反対し続けるだろう
4月19日 アメリカと支那の冷戦がはじまると、支那が日本に仕掛ける宣伝戦はもっと激しくなる
4月20日 今のままでは、日本は支那の宣伝戦に耐えられそうにない
4月21日 日本は明治になるまで、支那の宣伝戦を経験しなかった
4月22日 日本人も外国人も同じ人間である、と思い込む習性が日本人にはある
4月24日 大乗仏教の影響で、日本人はウソの宣伝戦に騙されやすい
4月25日 支那の宣伝戦は、「国家は悪いことをする」と考える日本人の弱点を突いてくる
4月29日 憲法の本質的な議論を60年間避け続けてきたツケを、今ごろ払っている
5月1日 北朝鮮の核開発リスクは、従来からあるリスクにもう一つ追加されただけ