日本にも諜報活動(スパイ行為)はありました。これは相手国の秘密情報を探ることで、戦国大名は忍者を使って盛んにやっていたし、江戸時代に入っても幕府は、諸大名の動向を色々な手段で探っていました。
しかし自分に有利なようにウソをついて敵国や自国の世論を誘導するという宣伝戦は、ほとんどしていませんでした。日本の支配者たちは、ウソをつくことで一時的な利益を得ることはできるが、国民が政府を信用しなくなり長期的には国が衰退する、と考えたのです。
日本人は、支那人や朝鮮人と接触がなかったので、支那人や朝鮮人もウソの宣伝戦をするとは思っていませんでした。このように彼らを誤解したのは、日本は支那や朝鮮と1000年以上にわたって国交がなかったからです。
日本は、680年ごろ(奈良時代より前の白鳳時代)に支那との国交を廃止しました。日本はそれまで自国を倭国と呼び、ミカドは倭王と自称しておられました。東アジアの常識では、王は皇帝より一段下の身分であり、倭王は支那の皇帝の家来でした。
しかし日本は支那の影響から脱しようとして、国名を日本に変更し、ミカドは自称を天皇に変えました。天皇という位は、支那の皇帝と同等です。唐の皇帝は自分と同等の存在を認めず、日本の天皇を無視しました。その結果、両国の国交は自動的に断絶しました。
国交断絶の後も日本は支那に遣唐使を派遣し続けましたが、これは文化交流であって国交ではありません。国交がなくても私人の入国は可能です。現に日本と北朝鮮の国交はありませんが、日本人があの国に観光旅行に行くことはできます。
その遣唐使も894年に廃止され、以後明治になるまで1000年近く公人の行き来は途絶えました。国家レベルでの交渉が一切なくなったわけで、支那の日本に対するウソの宣伝戦もありませんでした。このような事情で、支那人の行う宣伝戦を日本人は実地に体験することがなかったのです。
日本人は昔から支那を知っている、と考えるのはとんでもない誤解です。近代になってロシアやイギリスは、日本よりも前に清国と国交を樹立しています。そして支那の宣伝戦を経験していたわけです。
以下はひと続きのシリーズです。
4月8日 5月に、トランプ大統領と金委員長が首脳会談をすることになった
4月9日 トランプ大統領は、とりあえず習近平に北朝鮮を抑えさせようとした
4月10日 トランプ大統領は、支那を外して直接北朝鮮と交渉し、核を放棄させようとしている
4月11日 最近まで、アメリカ人は支那をかわいそうな国だと思っていた
4月13日 支那は豊かになることによって自由な社会を作る、とアメリカ人は勘違いした
4月14日 支那に買われたアメリカの政治家やマスメディアは、今後もトランプ大統領に反対し続けるだろう
4月19日 アメリカと支那の冷戦がはじまると、支那が日本に仕掛ける宣伝戦はもっと激しくなる
4月20日 今のままでは、日本は支那の宣伝戦に耐えられそうにない
4月21日 日本は明治になるまで、支那の宣伝戦を経験しなかった
4月22日 日本人も外国人も同じ人間である、と思い込む習性が日本人にはある
4月24日 大乗仏教の影響で、日本人はウソの宣伝戦に騙されやすい
4月25日 支那の宣伝戦は、「国家は悪いことをする」と考える日本人の弱点を突いてくる
4月29日 憲法の本質的な議論を60年間避け続けてきたツケを、今ごろ払っている
5月1日 北朝鮮の核開発リスクは、従来からあるリスクにもう一つ追加されただけ