日本政府の借金が実質的にほとんどなく、国家財政が極めて優良なのになぜ日本は経済成長しないのか、なぜ政府の借金が1000兆円などと大ウソをつかなければならないのか?
なぜ日本より財政的に厳しい他国が経済成長しているのか? という理由をこれから探っていきます。
日本の名目GDP・失業率・インフレ率
年度 1995 1996 1997 1998 1999 2000
GDP 512 525 534 527 519 526兆円
失業率 3.15 3.37 3.40 4.10 4.67 4.73%
インフレ率 -0.13 0.14 1.75 0.67 -0.34 -0.68%
年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017
GDP 494 503 513 530 537 544兆円
失業率 4.33 4.01 3.58 3.38 3.12 2.89%
インフレ率 -0.06 0.34 2.76 0.79 -0.11 0.37%
バブル崩壊(1990年頃)から現在までの経済状況を大雑把に眺めてみると、1997年に消費税を3%から5%に上げたことにより、景気が一挙に冷え込みました。そこで公共事業を大規模に始めて(1998~2000)景気の回復を図りました。
ところが大規模な公共事業をやると国の借金が膨らみ国家財政が危機的な状況になるという議論が高まって、今度は公共事業を大幅に絞り始めました。このような経緯で不況が長引いてしまいました。特に2009年から3年間の民主党政権の失政でGDPが大きく減少し、2012年には500兆円を下回ってしまいました。
2013年初から始まったアベノミクスの効果で景気が回復し始めましたが、2014年に実施された消費増税により頓挫しました。当初の計画では開始から2年後にはインフレ率は2%になるはずでしたが、実現されていません。ただし失業率は徐々に改善されています。
日本の場合、どんなに景気が良くなっても失業率は2.5%よりは下がらないと考えられています。もう少しでこの限界に達するので、以後は人手不足で賃金上昇と非正規雇用の正社員化が起きると予想することができます。やはりアベノミクスは効果があるのです。ただし、来年に予定通り消費税値上げが実施されれば、また景気が悪くなる恐れがあります。
以下はひと続きのシリーズです。
10月4日 穏やかなインフレになれば、経済は自然に良くなっていく
10月6日 プラザ合意で、為替を本当の変動相場制にすることにした
10月7日 日本には、お金じゃぶじゃぶ政策しか残されていなかった
10月8日 お金じゃぶじゃぶ政策は、欧米では当たり前の政策だった
10月9日 19世紀末から20世紀前半は、金本位制が優れた制度だと考えられていた
10月11日 高橋是清は、経済は集団心理で動く、と理解していた
10月12日 経済は集団心理で動くのに、経済学はそれを数字で説明しようとする
10月13日 経済活動は、その民族の伝統的な考え方に大きく影響されている
10月14日 『男子の本懐』はデフレを深刻にした金本位制復活がテーマ
10月15日 2014年の消費税値上げにより、アベノミクスがとん挫した
10月17日 白川日銀総裁は、頑なに「お金じゃぶじゃぶ政策」を拒否した
10月18日 日銀がお金じゃぶじゃぶ政策を採用しなかったのは、国民が「日本はもう経済成長しなくても良い」と考えたから
10月19日 20年以上日本経済が停滞したのは、大乗仏教が原因