景気変動は人間の集団心理によって動く部分が大きく、単なる需要と供給との関係によって決まるものではありません。
さらに、経済学の根底には宗教や哲学が横たわっています。自由主義経済の根底にはキリスト教の信仰から生まれた自由の考え方があり、マルクス経済学は唯物史観という哲学を基礎にしています。だから共産主義社会だったソ連と自由主義のイギリスとでは、人間の経済分野における行動が全く違っていました。
Freedomと誠という同じような考え方を持っているイギリス人と日本人の経済面における行動は似ている部分があります。しかし、支那人の活動はこれとは全く違います。
支那人は特許権やブランドなど企業が長年努力して築き上げてきた知的財産権に配慮せず海賊商品を平然と作っています。アメリカや日本の政府や企業のコンピュータをハッキングして貴重な情報を盗み取っています。他にもいろいろやっています。
要するに彼らがやっているのは「海賊経済」なのですが、それは彼らの伝統的な考え方が「海賊流」だからです。支那人の伝統的な考え方は、「同心円思考」です。自分が世界の中心にいて、その周囲に宗族(血族)と親しい友人や同郷人がいます。ここまでの狭い範囲にいるのが仲間で、その中でお互いに助け合います。
その周囲に存在する人間が「赤の他人」で、単に騙して利用するだけの存在です。特に一番外側に位置するのが異民族で、およそ人間扱いするような者たちではありません。このような「同心円思考」を国家観や国際社会に応用したのが、「中華思想」です。
このように人間の経済的活動は、所属する民族の伝統的な考え方から大きな影響を受けています。日本はバブル崩壊後の20年以上にわたってデフレと不況を克服できませんでした。その間に欧米や支那・その他の新興国はどんどん経済成長を遂げて、経済的に日本を追い抜きつつあります。
日本人の経済活動は極めて特殊であり、それは日本の伝統的な考え方が特殊なことから来ているはずです。これから、バブル崩壊後に日本政府や日銀がやってきたことがどれだけ特殊だったのか、を説明します。
以下はひと続きのシリーズです。
10月4日 穏やかなインフレになれば、経済は自然に良くなっていく
10月6日 プラザ合意で、為替を本当の変動相場制にすることにした
10月7日 日本には、お金じゃぶじゃぶ政策しか残されていなかった
10月8日 お金じゃぶじゃぶ政策は、欧米では当たり前の政策だった
10月9日 19世紀末から20世紀前半は、金本位制が優れた制度だと考えられていた
10月11日 高橋是清は、経済は集団心理で動く、と理解していた
10月12日 経済は集団心理で動くのに、経済学はそれを数字で説明しようとする
10月13日 経済活動は、その民族の伝統的な考え方に大きく影響されている
10月14日 『男子の本懐』はデフレを深刻にした金本位制復活がテーマ
10月15日 2014年の消費税値上げにより、アベノミクスがとん挫した
10月17日 白川日銀総裁は、頑なに「お金じゃぶじゃぶ政策」を拒否した
10月18日 日銀がお金じゃぶじゃぶ政策を採用しなかったのは、国民が「日本はもう経済成長しなくても良い」と考えたから
10月19日 20年以上日本経済が停滞したのは、大乗仏教が原因