お金じゃぶじゃぶ政策(市中に出回るお金をどんどん増やして人々の心を変え、経済を活性化させる金融緩和)が有効なのは歴史的な事実であって、世界中の有名な経済学者が主張してきた通りです。
それなのに日本は「お金じゃぶじゃぶ政策」を実施することを20年以上拒否し続け、不況を長期化させてしまいました。その間も他国は経済成長を続けたために、日本の世界における経済的地位が大いに低下しました。
今でも「お金じゃぶじゃぶ政策」に対する批判や無理解が政治家や経済学者の間で根強くあります。消費税増税の主張もその一つです。
アベノミクスが進めている「お金じゃぶじゃぶ政策」は、人間の心理をインフレモードに変えて消費を促す政策なのに、消費税増税はそれと反対に消費意欲を減退させます。消費税増税の主張はアベノミクスの本質を理解していないか、それを潰そうとしているとしか思えません。
アベノミクスが開始されたのは2013年初で、1年間は非常に順調に進みました。しかし翌年消費税を値上げしたために、一挙に消費が冷え込んでしまいました。消費税の段階的値上げは民主党政権の時に決まりました。
消費税法は2014年に税率を5%から8%への値上げするように規定していました。しかし消費税の値上げは「お金じゃぶじゃぶ政策」と相反するものなので、その実施について反対意見がありました。
財務省・日銀や多くの経済学者は増税による物価への影響は軽微だと予想したので、2014年4月に規定通りに値上げしました。ところが実際に増税をすると消費が大幅に減少し、物価の上昇がストップして再びデフレになってしまいました。
グラフを見ると、2012年末から順調に物価が上昇しています。2014年6月の大幅な物価上昇は消費税増税によって起こりました。しかしその後物価はデフレ傾向になっています。
以下はひと続きのシリーズです。
10月4日 穏やかなインフレになれば、経済は自然に良くなっていく
10月6日 プラザ合意で、為替を本当の変動相場制にすることにした
10月7日 日本には、お金じゃぶじゃぶ政策しか残されていなかった
10月8日 お金じゃぶじゃぶ政策は、欧米では当たり前の政策だった
10月9日 19世紀末から20世紀前半は、金本位制が優れた制度だと考えられていた
10月11日 高橋是清は、経済は集団心理で動く、と理解していた
10月12日 経済は集団心理で動くのに、経済学はそれを数字で説明しようとする
10月13日 経済活動は、その民族の伝統的な考え方に大きく影響されている
10月14日 『男子の本懐』はデフレを深刻にした金本位制復活がテーマ
10月15日 2014年の消費税値上げにより、アベノミクスがとん挫した
10月17日 白川日銀総裁は、頑なに「お金じゃぶじゃぶ政策」を拒否した
10月18日 日銀がお金じゃぶじゃぶ政策を採用しなかったのは、国民が「日本はもう経済成長しなくても良い」と考えたから
10月19日 20年以上日本経済が停滞したのは、大乗仏教が原因