元日銀総裁の白川さんは、東大在学中に「民主社会主義研究会議」に所属して活動していました。これは今の民社党の系統の組織です。民主社会主義というのは、西欧ではキリスト教の信仰と社会主義を融合させた政治思想です。
ところが日本に入った民主社会主義は、日本の伝統的な考え方によって大きく変貌を遂げました。民社党がどのような理屈を表で掲げているかではなく、実際に主張していることを見てみましょう。
1、戦争反対
キリスト教は神の教えが絶対的に大事で、神の教えを守るために戦うことには反対しません。民社党はこれと異なり、いかなる理由であれ争いはいけないという考え方です。どんな理由があろうと争いはいけないというのは、大乗仏教の考え方です。
2、国家は悪いことをする
民社党は、「国家は悪いことをする」と思い込み、事実に基づかずに、いわゆる「歴史問題」で支那や朝鮮と同じ立場から日本を糾弾し続けています。このような発想は大乗仏教のものです。
この世は修業の足りない者たちが集まった汚れた場所だから、そこにある国家もろくでもないものだ、と信じ込んでいるのです。西欧のキリスト教社会には、「現世は汚れた場所だ。国家は悪いことをする」という考え方はありません。地上は良い人間と悪い人間の混じったところであり、地上を「神の国」にするのがキリスト教の教会の務めです。
上記の1、2、により日本の社民党は西欧の社会民主主義の考え方をきちんと理解せず、大乗仏教の考え方に立っている政党だということが分かります。
日本人は政治的立場によって人を「右翼」「左翼」「リベラル」などに分類しますが、これらの言葉はもともと欧米から来たもので、日本の実態に合いません。むしろその人や政党の考え方が仏教的か否かで分ける方が、実態を反映します。
自民党の一部派閥、社民党、旧民主党は仏教の考え方に基づいている政党です。元日銀総裁の白川さんは社民党と同じ考え方なので、仏教の発想でものを考える方です。従って彼が、「日本経済はこれ以上の成長を望めないし、望まなくてもいい」と仏教の発想から社会を観察し、「お金じゃぶじゃぶ政策」を頑なに拒んだのも納得できます。
以下はひと続きのシリーズです。
10月4日 穏やかなインフレになれば、経済は自然に良くなっていく
10月6日 プラザ合意で、為替を本当の変動相場制にすることにした
10月7日 日本には、お金じゃぶじゃぶ政策しか残されていなかった
10月8日 お金じゃぶじゃぶ政策は、欧米では当たり前の政策だった
10月9日 19世紀末から20世紀前半は、金本位制が優れた制度だと考えられていた
10月11日 高橋是清は、経済は集団心理で動く、と理解していた
10月12日 経済は集団心理で動くのに、経済学はそれを数字で説明しようとする
10月13日 経済活動は、その民族の伝統的な考え方に大きく影響されている
10月14日 『男子の本懐』はデフレを深刻にした金本位制復活がテーマ
10月15日 2014年の消費税値上げにより、アベノミクスがとん挫した
10月17日 白川日銀総裁は、頑なに「お金じゃぶじゃぶ政策」を拒否した
10月18日 日銀がお金じゃぶじゃぶ政策を採用しなかったのは、国民が「日本はもう経済成長しなくても良い」と考えたから
10月19日 20年以上日本経済が停滞したのは、大乗仏教が原因