白川さんを日銀総裁(2008年~2013年)にしたのは民主党政権でした。彼は「お金じゃぶじゃぶ政策」を頑なに拒否したために円紙幣が物に対して希少価値を持つ様になり、デフレを長引かせました。
その間に欧米は「お金じゃぶじゃぶ政策」をとってドル紙幣やユーロ紙幣を増刷したので、円はドルやユーロに対しても希少価値が生じました。その結果、1ドル70円の超円高になり、日本経済は危機的な状況になりました。
白川さんはシカゴ大学に留学し、ノーベル経済学賞を受賞したマネタリストのミルトン・フリードマン博士の教えを受けました。マネタリストとは、市場に出回るお金の量が経済に大きな影響を及ぼすと主張する学者のことを言います。
したがってマネタリストの弟子である白川さんは、普通なら「お金じゃぶじゃぶ政策」を主張はずです。ところがその反対に彼は「お金じゃぶじゃぶ金融政策」を拒否したので、多くの学者が首を傾げています。
民主党が政権を担当していた当時、何人かの経済学者は日本の経済を成長させようとして、民主党の幹部に「お金じゃぶじゃぶ政策」を説明しました。しかし、民主党はそれを採用しようとしませんでした。彼らは、日本は経済成長するはずがない、と思い込んでいたからです。
民主党の幹部たちが「日本は経済成長するはずがない」と思い込んでいた理由のひとつは、少子化によって次第に人口が減少するということでした。少子化によって経済が成長できないというのなら、西欧も少子化が進んでいるので経済は成長しないはずです。ところが西欧は経済が成長しています。
少子化による人口減と経済成長は関係がないといくら説明しても、民主党の幹部は考えを変えようとはしませんでした。民主党だけでなく他の政党の多くの政治家も、同じように考えていました。
以下はひと続きのシリーズです。
10月4日 穏やかなインフレになれば、経済は自然に良くなっていく
10月6日 プラザ合意で、為替を本当の変動相場制にすることにした
10月7日 日本には、お金じゃぶじゃぶ政策しか残されていなかった
10月8日 お金じゃぶじゃぶ政策は、欧米では当たり前の政策だった
10月9日 19世紀末から20世紀前半は、金本位制が優れた制度だと考えられていた
10月11日 高橋是清は、経済は集団心理で動く、と理解していた
10月12日 経済は集団心理で動くのに、経済学はそれを数字で説明しようとする
10月13日 経済活動は、その民族の伝統的な考え方に大きく影響されている
10月14日 『男子の本懐』はデフレを深刻にした金本位制復活がテーマ
10月15日 2014年の消費税値上げにより、アベノミクスがとん挫した
10月17日 白川日銀総裁は、頑なに「お金じゃぶじゃぶ政策」を拒否した
10月18日 日銀がお金じゃぶじゃぶ政策を採用しなかったのは、国民が「日本はもう経済成長しなくても良い」と考えたから
10月19日 20年以上日本経済が停滞したのは、大乗仏教が原因