2017年11月に北京に行った財界合同訪中団は、李克強首相と会談した時に日本企業が支那から撤退するのを支那が邪魔するなどの深刻な問題についてをしませんでした。そして経団連の榊原定征会長などは李克強首相に対し、支那の一帯一路構想を称賛し、協力したいと申し入れました。
一帯一路構想は、北京からヨーロッパまでの交通路を整備しユーラシア大陸の貿易を促進しようという計画で、支那政府が熱心に推進しています。これは、中央アジアを通る陸路(一帯)と東南アジアやインドの海岸を経由する海路(一路)の二つのルートから成り立っています。支那領内の道路は支那が建設しますが、国境の向こう側の道路を相手国が作りそれを繋げば、貿易が盛んになってお互いのメリットになるではないか、という話です。
一帯一路の目的は、二つあります。
第一に、道路・港・鉄道などのインフラ整備のために巨額の工事が必要になります。この工事を支那の企業に請け負わせることを考えています。
今の支那経済はバブルがはじけた後の不況で、コンクリートや鉄鋼産業などの素材業界は需要不足で設備が遊んでいます。また2億人以上(日本の人口の2倍!!)の失業者が発生して社会不安が高まっています。一帯一路の建設需要が起これば、支那の経済は復活できます。
第二に、アジアや欧州の巨大経済圏の物流を支配することにより、支那はアジアや欧州地域の経済を支配して、政治的・軍事的にも優位に立つことができます。とくに東シナ海からアラビア湾にいたる海路を抑えれば、日本の原油輸入ルートを遮断できます。
支那政府は、ユーラシア諸国に様々なインフラ建設事業を提案しています。コストを低めに、事業による利益を高めに見積もって、そのプロジェクトがいかにも儲かりそうに説明しています。建設工事には莫大な土地の買収費用がかさみますが、支那政府が作った見積書には、そんな費用は計上されていません。
金がなければ支那政府が貸す、とまで言っています。実際には支那政府にも金がないので、支那政府は外国の銀行から借りた金をまた貸しする形で融資しているので、金利は高いです。そして最後に賄賂攻勢によって、条約を締結するわけです。
ユーラシア諸国は、一帯一路によって自国のインフラが整備され経済も活性化するとして、支那の一帯一路構想を熱狂的に歓迎しました。
以下はひと続きのシリーズです。
9月8日 渋沢栄一は、損得勘定だけで世の中を考えてはならない、と考えていた
9月9日 西郷隆盛は、もっと戦をしなくてはならない、と言っていた
9月10日 欧米を見聞した維新当時の指導者は、征韓論に反対した
9月13日 今の日本人は、経済的自由主義を正確に理解していない
9月15日 欧米のFreedomには、保護し教育するために強制する、という考えが含まれている
9月16日 明治時代の官営事業は、経済的自由主義に基づいている
9月17日 自由主義は、弱者と強者を同じ土俵で競争させるという考え方ではない
9月18日 ちゃんとした大人は好きなことをやって良い、というのが自由主義
9月20日 Freedomは昔から日本にあり、誠と呼ばれていた
9月21日 経営者団体の目的は、経済活動に関して政府に提言すること